千年王国3銃士ヴァニーナイツ

放映

平成11年4月2日〜平成11年9月17日、全20回
テレビ朝日
毎週金曜26時〜26時30分 (毎月最終週を除く)

概要

所は千年町。 美少女フィギュアとインターネットゲーム「千年王国記アレスト」に夢中な男、藤田和幸。 両親はオーストリアに出張中で、妹の愛美と二人で暮らしている。 そんな彼がいきなり勤め先をリストラされた日、全ては始まった。

突如彼の家に守野ありすという少女が転がり込んで来た。 更に彼はアモル・ゴアの刺客、フェウアー・ゾーマに狙われる。 アモル・ゴアは和幸の体内に秘められた剣・ミレニアムセイバーを求めているのだ。 しかしそこに駆けつけるありす。そして浅木あきら、加賀美あいりの二人の少女。 彼女達が「ナイトアップ」する時、アレスト・ホルンに仕える3銃士ヴァニーナイツとなるのだ!

3人のおかげで難を逃れた和幸。 彼女達は和幸が千年前に魔族から世界を救った勇者アレスト・ホルンの転生だと言う。 そして3人は和幸を守るため、強引に和幸の家に住むことになる。 かくしてアモル・ゴアとの戦いが始まった。

しかし自分が勇者の転生などという自覚は全く生まれることなく、和幸は「千年王国記アレスト」にうつつを抜かす。 果たして世界はどうなるのだろうか?

解説

「仮面天使ロゼッタ」と同じスタッフが放った美少女変身もの。 設定だけ見るとロゼッタと同じ路線の作品のように見えるが、作風はロゼッタとは結構違ったものとなった。

ほのぼのファミリーコメディーといった趣きだったロゼッタ。 それと比べると、基本がコメディー調というのは同じだが、お色気たっぷりの危ないギャグの数々がまず目立つ。 シーンはもちろん、セリフもえっちなものが数多く出るのだ。 とてもヒーローものとは思えん。さすが深夜番組。 ちなみに敵女性陣も妙に淫靡な人ばかり。

敵と言えば、敵との戦いも一味違う。 ザコ敵を毎回倒していくというフォーマットはシリーズ序盤であっさりと崩れ去り、次々と現れる敵幹部との何回にも渡る死闘が繰り広げられていくようになる。 それは中だるみを生むものではなく、逆に新たな敵の出現に時間を割くよりもストーリーの深みを増す方に注力できるので、むしろテンションはどんどん上がっていく。

さて、テンションが上がるのはいいのだが、ロゼッタではアクションについて懸念していた主演女優陣はどうか? これはアクションの方は合格。目が覚めるほどキレがいいというわけでもないんだけど、まあほとんど気にならないんじゃないかと。 ただし演技の方に多少難あり。特に誰とは言わんけどね。 いや確かにあいり役の演技って感情を殺しながら喋りつつも棒読みセリフになってはいかんので、難しい役なんだが。 …って、誰のことかバレとるぞ。

でも細かい問題は吹き飛ばすだけのパワーを持った作品である。 ヒーローものとして正統派の戦いを見せてくれる。 なのによく考えたら敵味方全部含めて、登場人物は女性の方が多いという華やかさ。 更に和幸のオタクな言動に共感してしまうことしばしば。 …って、そんなの私だけ? 失礼しました。 えー、とにかく、独特の魅力を持った作品に仕上がっている。

ストーリーは大きく2部構成となっている。 まず第1話〜第15話までで、ほぼ話の決着がついてしまう。 雰囲気としてはここで最終回と言われても、そう違和感はない。 ただ、物語最大の謎であるアレスト・ホルンとミレニアムセイバーの話が残されてはいるが。 その上で、第16話〜第20話でこの謎の解決に向けて話が進んでいく。

この後半部分は賛否両論間違い無しといったもので、前半とは雰囲気が一転してしまう。 コメディー調が消え失せ、ダークでハードでシリアスな雰囲気が全編を覆ってしまうのだ。 それまでの雰囲気に慣れていると、第16話のラストは衝撃のシーンとなるだろう。 またラスト間近で突如新しい設定が登場して説明しきれていないなど、いささか消化不良の感があるこの後半。 拒否反応を起こすのも無理はない。

そして特に問題になるのは最終回のラスト。 このラストには誰もが衝撃を受け、何がなんだか分からないこと間違い無し。 しかしこのラストは理解不能、全然説明になってないと思う人が多いだろうが、私はあれも一つの形だろうと思う。 確かに明確に結果を描いていないという面はあるが、全く意味不明というほどではないし、ありすの想いも充分に伝わってくるし、それもまた良きかなと思うのだがどうだろう。

なお、作中に登場する重要なファクターのひとつ「千年王国記アレスト」だが、このゲームはパソコンだけでなくドリームキャストでもできるらしい。 和幸はiMacでNetscapeを使ってプレイしているが、他の人がドリームキャストでプレイしている様子が何度となく見られる。

またEDのクレジット表記では「千年王国記アレスト」のプロデューサーとして、なんと作中と同じく天野喬生の名が記されている。 そしてアリスのキャラクター原案協力として、あの美樹本晴彦が名を連ねている。 ちなみに「千年王国記アレスト」のページhttp://www.arest.co.jp/は実在する。 作中のものとは違い、ユーザー認証は不要であるのでお気軽にどうぞ。

なお本筋と関係無い話をひとつ。 製作にケイエスエスが関わっているせいか、作中にあの有名ゲーム「To Heart」のフィギュアやらポスターやらが何度も登場する。 和幸はマルチとあかりのフィギュアを持っているようだ。(って、私ゃこの二人しか知らん) その筋のファンの方はそういうところも要チェック。

ヴァニーナイツ用語辞典

作中には様々な用語が登場するが、まともに説明されないまま終わってしまったものも多い。 特にストーリーが理解出来なくなるというわけではないのだが、知っておくと理解が深まるかもしれない用語を紹介。
アレスト・ホルン
千年に一度現れ、人間に転生する伝説の勇者。千年前の聖戦でラージャスを滅ぼした。 ホルンは生命を育む意志を持ち、神にも等しい存在である。
ミレニアム・セイバー
アレスト・ホルンが振るう剣で、創造の力を司る。 そのため、この剣を手に入れた者は世界を思いのままにできる力を得るという。
エクス・カリバー
アレスト・ホルンが振るう剣で、破壊の力を司る。現在はアモル・ゴアの手の中にある。
ラージャス
エクス・カリバーのエネルギーによって生まれた魔族。千年前の聖戦でほとんど滅ぼされてしまった。 ラージャスはアモルを信仰しているため彼らの王はアレスト・アモルと呼ばれる。 アモルとは滅びの意志を持ちかつてホルンと戦った者であり、これまた神に匹敵する力を持つ。 ちなみに作中に頻繁に登場する、アモル・ゴアの拠点となる高層ビルはラージャス・ビルという。
アモル・ゴア
千年前に滅ぼされた魔族ラージャスの唯一の生き残り・ゼキエルがアレスト・アモルを名乗り、作り上げた魔族の組織。
ゾーマ
アレスト・アモルによって作られた、作り物の魔族。
レスタトス
強大な能力を持ちゾーマを操る。が、実は自身もゾーマ。アモル・ゴアの中で真の魔族はアレスト・アモルのみである。 吸血を行い、人間をノスフェラトスにする。 レスタトスとは、「アレストに仕える者」の意味。
ノスフェラトス
レスタトスに吸血され、永遠の命を得た人間。だがレスタトスの力がないと生き続けられないので、彼らへの服従を余儀なくされる。 自分の意志を持たない者、人間だった時と同様の意志を持つ者など、色々なタイプの者がいる。
ヴァニーズ・セイバー
ミレニアム・セイバーの力を分けて作られた剣。アレスト・ホルンを守る騎士、ヴァニーナイトが操る。 彼女らは転生を繰り返し、常にアレスト・ホルンに付き従っている。 今回3本の剣が登場するが、普段は小さなアクセサリーサイズになっており、「ナイトアップ」するためのアイテムとして使用すると本来のサイズに戻る。
ゾアニス
古代にラージャスが奴隷にするため作り上げた獣人の一族。 「千年王国記アレスト」に登場するウサギ娘のアリス・ラ・ゾアニスは実在したゾアニスであり、アレスト・ホルンに出会ってから転生を繰り返して常に彼につき従っている。 実は、このアリスこそヴァニーナイツの遠い遠い祖先なのである。

登場人物

守野ありす(栗林みえ)
17歳。首からぶら下げたヴァニーズ・セイバーによって、アリエス・ヴァニーにナイトアップする。 力と技のバランスのとれた騎士で、剣はアリエス・サーベル。必殺技はアリエス・フィニッシュ。 3騎士で敵の動きを封じるヴァニー・トリニティーを放った後、とどめのヴァニー・イクスプロージョンを放つ中心的位置に立つ。
北海道出身で、2年前に騎士への覚醒を阻もうとしたアモル・ゴアのために母を失い、くしくもその時にヴァニーナイトとして覚醒した。 そして高校をやめて上京してきた。自分の使命に忠実であろうとする真面目な性格だが、天然ボケぶりも結構なもの。とんでもないことをそれと気付かず平然と言う。
「やっぱり、男の人は、生でやる方がいいですよね」
「乱交パーティーでもしましょうか!」
など、様々な迷セリフを残す。(ちなみに栗林みえ自身、本当に乱交の意味を知らなかったらしい) また、相手が誰でも常に敬語で話す。たとえ相手が敵であっても。やっぱり変だ。
ホームヘルパーと称して藤田家に来るが、料理はドヘタである。ウサギさんアイテムを集めるのが趣味。 得意技は、和幸が心ならずもえっちなことをした時に放つ往復ビンタ。 和幸を守っていく内にいつしか和幸のことが好きになっていくが、本人すらそのことにはなかなか気付かなかった。
浅木あきら(益子梨恵)
20歳。太股のベルトに付けているヴァニーズ・セイバーによって、ラハミエル・ヴァニーにナイトアップする。 大型の剣ラハミエル・ブレードを振り回し、パワーで敵を蹴散らす。必殺技はラハミエル・エンド。
3人の中で一番年上だが、別にリーダー格というわけではない。話し言葉は男っぽく、落ち着いたクールな性格。 そのためもあってかなり大人っぽく見え、和幸は自分より年上だと思い込んでいたくらい。
2年前、結婚式当日に婚約者の佐久間直樹をアモル・ゴアに奪われたという過去を持つ。
ナイスバディな現役のモデルで、実は藤田家の住人の中で唯一の定職労働者。 皆を養うため仕事を選ばずがんばって稼いでいるようで、だんだんと変な仕事をするようになる。
加賀美あいり(永井流奈)
15歳。胸ポケットに入れてあるヴァニーズ・セイバーによって、ラビエル・ヴァニーにナイトアップする。 2本の短剣ラビエル・レイピアを使うスピードの騎士で、エネルギーを大きく消耗するが瞬間移動も可能。必殺技はラビエル・シュート。
青雲女子高校の1年生。…って、神あすかと同じ学校じゃないかー! でも制服は違う。
1年前、自分の身代わりに親友がアモル・ゴアに殺されて以来、他人を寄せ付けない暗い性格になった。 淡々と感情のこもらない喋り方をし、戦いでは非情な判断を下すことが多いが、共同生活を続ける内にだんだんと心を開くようになる。 とか言いつつ、言うほど変わらないのだが。人間、そう簡単には変わらない。
一人で黙々とやるタロット占いが趣味。両親は再婚で、新しい父親を嫌っている。
藤田和幸(渡辺慶)
22歳。勇者アレスト・ホルンの転生らしい男。本人に全く自覚はない。 しかし7年前、1992年7月7日午後3時に落雷のような衝撃を受けた時に尻に剣の形のあざができており、それがアレスト・ホルンの証しなのだそうだ。 体内に秘められているらしいミレニアム・セイバーを巡ってヴァニーナイツとアモル・ゴアとの間で戦いが繰り広げられるが、本人は他人事のように感じている。 が、だんだんと自覚を持つようになってくる。
どちらかと言えば、現実よりはゲームやアニメなどの世界に浸る方が好き。 それは7年前のあの日以来、人の心が勝手に読めてしまう力が備わった時期があり、それで人付き合いを避けるようになったため。 それまではサッカー部のエースストライカーだったりしたという。今の姿からは想像できない。
部屋には所狭しと美少女フィギュアが飾られており、それは限定品やプレミアものばかりでかなり筋金入りである。 また、暇さえあればインターネット上のゲーム「千年王国記アレスト」をやっている。 その中の美少女キャラ、アリスに夢中で、アリスの声を演じる君島セリアを勝手に理想の女性化して妄想にふける癖がある。
リストラされて以来、定職には就かずにフリーターとしてバイト先を転々としている。 親が不在のためか、料理の腕前はなかなかのもの。普段は藤田家の炊事は彼の仕事である。 軟弱で頼りない男だが、優しく思いやりのあるところもしばしば見せる。実はいい奴だ。
藤田愛美(山川恵里佳)
和幸の妹。中学3年生。作中で15歳の誕生日を迎える。非常に無邪気で明るい性格で、多少のことには動じない。 いきなり3人も謎の同居人が押しかけてきたのを単純に歓迎してしまうくらい。 兄の趣味も大して気持ち悪がっている様子もない。 が、その明るさは寂しがり屋の裏返しのようだ。3人のことも、同居人が増えてにぎやかになるのがうれしい、ということらしい。 ちなみに料理はカレーしか作れない。
福島美弥(酒井若菜)
あいりの同級生。入学当初イジメにあっていた時に唯一普通に接してくれたあいりを友達として思いやっている。 あいりが付き合いを拒否しても全くめげない。実は「千年王国記アレスト」が好きで、ドリームキャストでプレイしている。
天野喬生(大川裕樹)
日本中に大ブームを起こしたゲーム「千年王国記アレスト」のプロデューサー。 彼自身はマスコミには一切顔を出さず、謎の男であった。和幸は彼を尊敬している。 実はこの男の正体は…。
君島セリア(堀江由衣)
「千年王国記アレスト」のナビゲーター役のウサギキャラ、アリス役の声優。彼女が歌うゲームの挿入歌はメガヒットとなり、日本中で流れている。 だが彼女の正体は謎に包まれており、声優マニアでも彼女の顔すら知らない。和幸の理想の女性である…かもしれない。
大家三吉(岡山はじめ)
3人も同棲(?)する女性が増えてご近所の噂になってしまい、家(借家)を追い出された和幸たちが第9話から引っ越した先のマンションの大家。 和幸は彼には全員姉妹という風に話してある。何かにつけて部屋を訪ねてくる、ちょっと迷惑かもしれないおじさん。 太目で温和そうだが、そういうキャラの宿命か奥さんの尻にしかれている模様。
阿院エレナ(久瑠あさ美)
ミレニアム・セイバーを狙う謎の女。様々なゾーマを和幸に差し向ける。 その正体はアモル・ゴアの一員、レスタトス・アイン。

全話リスト

タイトル登場アモル・ゴア
第1話「ミレニアム・セイバー」フェウアー・ゾーマ
第2話「アレスト・ホルン」ドンナー・ゾーマ
第3話「アモル・ゴア」ヴァッサー・ゾーマ
第4話「エクス・カリバー」ヴァインド・ゾーマ
第5話「モリノ・アリス」リヒト・ゾーマ
第6話「カガミ・アイリ」リヒト・ゾーマ
ダンクルハイト・ゾーマ
第7話「アサギ・アキラ」レスタトス・アイン
第8話「レスタトス・アイン」レスタトス・アイン
第9話「アマノ・キョウセイ」
第10話「レスタトス・ツヴァイ」レスタトス・ツヴァイ
第11話「フジタ・カズユキ」---
第12話「キミジマ・セリア」レスタトス・ツヴァイ
第13話「プライベート・ヴァニー」---
第14話「レスタトス・ドライ」レスタトス・ドライ
第15話「アリス・アリス」レスタトス・ドライ
再生ゾーマ (フェウアー、ドンナー、ヴァッサー、ヴァインド)
第16話「フジタ・マナミ」レスタトス・クアトロ
第17話「レスタトス・クアトロ」レスタトス・クアトロ
アレスト・アモル
アレスト・ホルン
第18話「ヴァニー・トリニティー」再生レスタトス・クアトロ
アレスト・アモル
アレスト・ホルン
第19話「ミレニアム・アレスト」再生レスタトス (アイン、ツヴァイ、ドライ、クアトロ)
アレスト・アモル
アレスト・ホルン
第20話「わたしだけのアレスト」アレスト・ホルン

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