一応大前書

必殺シリーズは時代劇なので、独特の言葉やら風俗習慣やらが頻発する。 そこで、必殺シリーズに出てくる言葉が分からない人のためにこれを解説しようと思う。 もちろん必殺以外の時代劇にも通用する。

しかし別に正しい江戸時代の辞典を作る気はないのでデタラメなことを書くかもしんない。 その際は許しておくんなまし。 なお、中村主水がメインになるような書き方になっているのは、主水シリーズ以外よく知らないから。 ごめんなさい。

リクエストがあればどんどん追加していくので、何かあったらどうぞ。

必殺大語録

最初は「いろはにほへと…」でまとめようかと思ったけど、自分でも分からなくなるのでやめた。(笑)

「あ」

いかけや【鋳掛屋】
鍋や釜などの穴を塞ぐのが鋳掛。それを商売にしている人。「新必殺仕置人」の巳代松がこれを商売にしている。 ちなみに彼の腕前はあまり良くないらしい。
うちくび【打首】
江戸時代の死刑の方法。刀でバッサリ首を斬って殺す。主水も首斬り役を勤めたことがあった。
えぞうし【絵草子/絵双紙】
平たく言えば本。子供向けの御伽噺を扱った赤本、歌舞伎・歴史物などの普通の大人向けの青本や黒本、子供向けの話を大人向けにアレンジした黄表紙などのこと。 赤本・青本などと言っても入試問題集ではないので注意。 広くは錦絵(カラーの浮世絵版画…いわばポスターか)なども含む。
おおおく【大奥】
江戸城にある将軍様専用のハーレム。男子禁制で、当時の男達のあこがれのパラダイス。 「必殺仕置人」で普段は女に無関心な棺桶の錠すら、大奥に忍び込むとなると行きたがっていたほど。 お世継ぎ問題などで権力抗争も激しかった模様。
おかっぴき【岡っ引き】
同心の下で働く下働き。ちゃんと十手を持っている。 必殺でのレギュラーとしては「必殺必中仕事屋稼業」で登場したオカマの源五郎などが有名かな? 「必殺仕置屋稼業」では主水の下に亀吉というのがくっついていた。
おかばしょ【岡場所】
吉原以外の私的な売春地帯。

「か」

くちいれや【口入れ屋】
就職/アルバイトの斡旋業。金に困った人が相手なので、必殺では悪事を企むことが多い。 例えば、心を入れ替えて真面目に働こうとする島帰りの男を陰謀に巻き込んだり、危ない仕事を紹介したり。
ごくもん【獄門】
打首になった罪人の首を刑場に晒すこと。さらし首。 遠山の金さんは主犯格をいつも打首・獄門の罪にする。(必殺と関係ないって)

「さ」

しおき【仕置】
法によって処刑すること。ただしここに言う仕置人とは…ってナレーションしてどうする。 時代劇でお仕置きと言うと普通死刑のことなので、「こ〜れ、お仕置きだべぇ」とか「月に代わってお仕置きよ」などと気軽に言ってはいけない。
しまおくり【島送り】
遠島の罪のこと。どこかの島に送られ、そこで働く。鳥も通わぬ八丈島などが有名。 刑務所に入るようなもので、結構重い罪。
しまがえり【島帰り】
遠島の刑期が明けて戻ってきた人。ムショ帰りのことである。 島に送られると二の腕に刺青を彫られるので、気をつけないとすぐにばれる。 島帰りに対しては世間の風当たりは冷たい。 改心した島帰りの男に罪をなすりつける、なんてのはよくあるパターン。
しまぬけ【島抜け】
島から脱走した人。脱獄犯である。「必殺からくり人」のからくり人たちは全員島抜け。
しょうぐん【将軍】
日本一偉いおじさん。「暴れん坊将軍」ならともかく、主に庶民にスポットが当たる必殺においてはほとんど関係無い人。 しかし主水は次期将軍や将軍の弟を手にかけたことがある。
じょろう【女郎】
売春婦。悪党に売り飛ばされた女性や、頼み料を稼ぐために自分から身を売った女性など、必殺には何かと縁のある人たち。 最高級になると太夫と呼ばれる。
しんじゅう【心中】
心中は意外と重い罪で、家から心中者が出たなんてことになれば恥だった。 もし心中で片方が生き残ると、三日の間さらし者になり江戸所払いの罪になる。 「必殺仕置人」の第1話で北町奉行を心中の生き残りに仕立て上げたのは有名。
そでのした【袖の下】
ワイロのこと。見廻りに来た同心に対して、店の主人が小銭を紙に包んで袖の下に忍ばせることからこう呼ばれる。 主水の楽しみのひとつ。

「た」

たいろう【大老】
将軍の次に偉い人。老中より偉いんだけど、いる時といない時があるようだ。
どうしん【同心】
平たく言えば警察官。よく岡っ引きを従えている。一番偉いのが筆頭同心。 主水は通常は定町廻り(町のパトロール)をしていることが多いが、ヘマばかりしているのでよく左遷されている。 「必殺仕業人」では、同心で最低の位である牢屋見廻りにまで格下げになっていた。

「な」

ぬけに【抜け荷】
密輸のこと。アヘンなどの御禁制の品を扱う。 善良な店に抜け荷の濡れ衣を着せてつぶすということもしばしば。 こういう時は大抵与力/同心とライバル店の主人が結託している。

「は」

はっちょうぼり【八丁堀】
当時、同心の官舎が八丁堀にあったことから、町人たちは同心のことを八丁堀と呼んだ。 別に中村主水固有のあだ名ではない。
はりつけ【磔】
刑罰のひとつ。罪人を公開の場ではりつけ柱に縛りつけ、左右から槍で突き殺す。公開処刑とはエグい。 無実の父が処刑されるその場を見て「おとっつぁーん」と泣き叫ぶ娘を見て誰かが真相を探り始める、なんてのがよくあるパターン。
ぶぎょう【奉行】
奉行所で一番偉い人。結構狙いやすい程度の偉さなので、よく殺しの相手になっていた。 主に出てくるのは町奉行や寺社奉行など。
ぶぎょうしょ【奉行所】
必殺で奉行所と言えば町奉行所のこと。北町と南町のふたつがあり、主水は最初は北町、後に南町に勤務。 町人のもめごとが対象なので、相手が侍だったりすると管轄外なので手が出せない。 更に、寺は寺社奉行の管轄なのでこれまた同心には手が出せない。 そんな、主水が表で手が出せない事件を裏で片づけるというのが多かった。
ふださし【札差】
旗本の代理で蔵米を管理し、それを担保に金を貸すなどということをする商人。 その商売の性質上、場合によっては幕閣にまで影響する力を持つ。 「必殺仕事人」第1話で鹿蔵がそんな大物の札差・叶屋を始末したため、大々的な仕事人狩りが行われて江戸の裏稼業は壊滅状態になった。

「ま」

みうけ【身請け】
女郎が金持ちの旦那に買い取られること。 「必殺まっしぐら!」では秀は太夫を目指す若紫を身請けするための金を稼ぐべく仕事をしまくっていた。
みうり【身売り】
女性が吉原などに奉公に出ること。年期が明けるか、身請けされるまで自由はない。 借金のかたに娘を吉原に売り飛ばす、なんてのは必殺ではよくある話。

「や」

よしわら【吉原】
…別に説明の必要はないと思うのだが。お上公認の売春地帯。
よたか【夜鷹】
非合法の売春婦。河原などで客を引く。お上の手入れがあると客をほったらかして逃げ出す。
よりき【与力】
同心を束ねる偉い人。一番偉いのが筆頭与力。

「ら」

りょう【両】
江戸時代の貨幣単位。一両は四分、一分は四朱。一朱は二百五十文。 資料が無いので貨幣価値がよくわからないが、主水の給料が六分だという。 また貧乏な中村家と言えど、主水が首を切られそうになった時に三十両の賄賂を用立てている。 一両10〜20万円くらいか?
ろうじゅう【老中】
幕府で将軍直属の偉いおじさん。まあスペシャルでもないとまず仕事の対象になることはない。
ろうなぬし【牢名主】
牢屋で一番偉い囚人。新入りはまずその人に挨拶してツル(金)を渡さなければならない。 「必殺仕置屋稼業」では印玄が、「新必殺仕置人」では念仏の鉄があっと言う間に牢名主に成り上がったことがあった。

「わ」

わかどしより【若年寄】
幕府で老中の次に偉い人。これくらいのクラスだと、各シリーズの最終回くらいになら仕事の対象になる。

必殺のメインページに戻る