必殺仕業人
放映
昭和51年1月16日〜7月23日、全28回
朝日放送・テレビ朝日系
毎週金曜22時〜23時
概要
前作「必殺仕置屋稼業」の最後で市松を逃がしたために牢屋見廻り同心に格下げになった主水。
だが裏稼業はやめずに続けていた。もはや彼にとって、裏稼業は生きるための糧となっていたのだ。
しかし彼の仲間は捨三と、新たな仲間のやいとや又右衛門のみ。
これでは思うように仕事もできない。
そんな時、主水の元に仲間入りを志願する男がやってくる。
市松と仕事をしたのがきっかけで主水の名を知ったというその男の名は赤井剣之介。
元は侍で人を斬ったために脱藩したお尋ね者で、殺し以外に生きるすべを知らない男であった。
主水は剣之介を仲間に加えて、すさんだ雰囲気が漂う中で殺しを続けていくのだった。
解説
前作の「必殺仕置屋稼業」に続いて主水シリーズの続投。
話は仕置屋から1年後。前作の最後で牢屋見廻りに格下げになった主水は、相変わらず裏稼業に手を染めていた。
これはおこうの最期の言葉に従ったため?
食い扶持を稼ぐためというのもあるが。
前作を明るくし過ぎたと判断したのか、この作品は異様に暗い。
常に北風が吹き、主水はいつもしかめっ面をしている、といった印象がある。
ひねた性格のやいとや、金にうるさいお尋ね者の剣之介、と仲間も華麗さに欠け、みんなして人生のドブの中をもがいているといった感じ。
などという暗さから敬遠する人も多いかと思うが、私はこの作品は結構好きだ。
人生のどん底でもがき苦しみ生き抜いてゆく、そんなしぶとさが見てとれるのだ。
ちなみに、主水はこの作品から酒を飲むようになる。それまでは下戸とされていたのに。
まあこんな状況では酒でも飲みたくなる、ということなのだろうが、実際のところはスポンサーであった某日本酒メーカーに気を遣ってのことらしい。
さて、実はこの作品の第24話はシリーズ通算200回記念である。
ということで、特別出演のゲスト陣として、過去シリーズのレギュラーが大挙して出演している。
全員挙げておくと、
「仕留人」の石坂浩二、
「仕掛人」「仕事屋」の緒形拳、
「仕置人」「仕置屋」の沖雅也、
「仕事屋」の大塚吾郎、
「仕事屋」の草笛光子、
「助け人」の田村高廣、
「仕掛人」「仕置屋」の中村玉緒、
「助け人」の中谷一郎、
「仕掛人」「仕置人」「助け人」「仕留人」の野川由美子、
「仕置人」「仕留人」の三島ゆり子。
凄い!これだけの面々が集まることは最初で最後。「仕事人大集合」も及ばない。
ドラマ自体もいい出来だし、この回は必見だ。
登場人物
- 中村主水(藤田まこと)
- 牢屋見廻りに格下げになり、袖の下を受け取ることもなくなったので懐が寂しくなってしまった。
そのため殺しによる収入に頼らざるをえなくなっている。
もう殺しから足を抜けられないと思っていたようだが、最終回で剣之介を失い、又右衛門と決別して、もはやこれまでと思ったようだ。
殺し屋としての自分を捨て、堂々と名乗りを挙げて剣之介の仇を討つべく果たし合いに臨む、主水の姿にその決意が見て取れる。
- 赤井剣之介(中村敦夫)
- 元は上州沼木藩の藩士、真野森之助。お歌のために人を斬ったのが元でお尋ね者となる。
市松と仕事をしたのがきっかけで主水を訪ねて江戸にやってくる。
今は顔を白く塗ってお歌と共に大道芸人をやっているが、全然金にならない。
つまり殺し以外にまともな収入源がないというこれまでに類を見ない人物。
刃のついた指輪で相手の元結を切り、髪の毛で首を絞めて殺す。
最終回で拷問を受け、逃亡するところをドブ川で斬り殺される。
- やいとや又右衛門(大出俊)
- 最初から仲間になっていた男。どういう経緯で仲間になったかは不明。
表稼業はその名の通りやいとや(灸)。
得物は焼けた針。主に相手のおでこに刺す。
やたら迷信深く、占いに凝っている。プレイボーイで腕っぷしはからっきし。
最終回で一味がヤバくなったため上方に逃げようとするが、実はそれは彼が現場に落としたおみくじから足がついたからであった。
- 捨三(渡辺篤史)
- 前作から転職し、洗濯屋を営み女郎の腰巻を洗っている。洗い場が一味のアジト。
- お歌(中尾ミエ)
- 剣之介の愛人。直接殺しはやらないが、常に剣之介と共に現場へ赴く。
相手をおびき出したりといった手伝いをすることもある。
最終回で剣之介と共に逃亡する途中、斬り殺されてドブ川に倒れる。
- 島忠助(美川陽一郎)
- 牢屋における主水の同僚の老同心。「日々是平安」がモットー。
- 出戻り銀次(鶴田忍)
- 牢屋の中を極楽と考え、ケチな罪を犯していつも「がんばります」と言って牢に舞い戻る男。
その正体は悲しき天才怪獣ノーマン。(ここは特撮のページじゃないってば)
- お澄(二本柳俊衣)
- 第2話〜第6話に登場した中村家の初代間借り人。
回船商の妾で羽振りが良かったが、夜の声がすさまじいため中村家は悶々とする。
そこで、やいとやの占いを使って引っ越させてしまった。
- 間借りの玄覚(田渕岩男)
- 第7話〜第9話に登場した2代目間借り人。
得体のしれない祈祷師で、奇行に走って中村家の面々を振り回す。
そのためすぐに追い出されてしまった。
- 千勢(岸じゅんこ)
- 第10話〜第28話に登場した最後の間借り人。
中村家で塾を開いていたうら若き乙女。なんと趣味は戯れ本(エロ本)集め。主水と貸し借りしていた。
更に、太もも丸出しで体操するし、風呂をのぞかれても何も言わないし、と主水にとっては非常にうれしい間借り人。
最終回で剣之介の訃報を聞いて呆然としていた主水を見て厠を覗かれたと勘違いし、さすがに激怒していた。
そのため恐らく出ていったのだろう。
- 中村せん(菅井きん)
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- 中村りつ(白木万里)
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全話リスト
第1話と最終話のみあらすじを記載。
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