ウルトラマン 作品リスト 10

タイトル登場怪獣/宇宙人
第37話「小さな英雄」ジェロニモンドラコテレスドンピグモン
脚本 金城哲夫  特殊技術 有川貞昌  監督 満田かずほ

ある日、銀座のデパートに突如ピグモンが出現した。 早速出動する科特隊。だがピグモンは科特隊と出会うや、あわてて何かを伝えようとする。
この様子はただごとではないと、科特隊はイルカの言語分析で名高い権田博士にピグモンの言葉の解析を依頼する。 しかしさすがの博士も、怪獣語の解析には手を焼くのだった。
一方の科特隊では、イデの様子がおかしい。何か悩んでいる様子で、仕事も手につかないようだ。 その晩、ハヤタはイデの様子を見に行く。と、イデはハヤタに自分の悩みを訴える。
自分達の仕事に意義はあるのか? 自分がどんな武器を発明しても役に立たない。いつも敵を倒すのはウルトラマンだ。 ウルトラマンさえいれば、科特隊も必要ないじゃないか!
そんなイデを、ハヤタは持ちつ持たれつだと励ます。
一方、突如ピグモンが取り乱し始めた。一体何が…。
その頃、とある岩山でうごめいている影があった。それは、死んだはずのドラコとテレスドンだった。
翌朝、博士は解析結果を持って科特隊にやって来た。そしてピグモンの言葉を怪獣語翻訳機にかけると、驚くべき言葉が流れてきた。 怪獣の酋長・ジェロニモンが60匹以上の死んだ怪獣達を復活させ、科特隊とウルトラマンに復讐すべく総攻撃を行なうというのだ。 その前にジェロニモンを倒せ、と。
決起する科特隊。彼らはピグモンの案内で、怪獣集結の地点へと向かった。 そこで科特隊はドラコとテレスドンを発見する。科特隊は地上に降り、2班に別れて戦うことにする。
テレスドンはキャップ・アラシ・フジのトリプルショットで倒される。
片やドラコに立ち向かうハヤタとイデ。だがイデは、ウルトラマンが今に来るさと戦う気力を見せない。 ハヤタの攻撃を受け、怒って向かってくるドラコ。しかしそれでもイデはウルトラマンを呼び続ける。 その様子を見たハヤタは、一度取り出したベーターカプセルをしまい込む。
その時、ビートルで留守番していたはずのピグモンがドラコの前に躍り出る。自らが囮となってハヤタ達を救おうというのだ。 だがピグモンは足を滑らせ、そこを狙ったドラコに叩きのめされる。 ハヤタ達の目の前で息絶えるピグモン。ハヤタはイデに怒りを向ける。
「イデ! ピグモンでさえ我々人類の平和のために、命を投げ出して戦ってくれたんだぞ!」
「科特隊の一員としてお前は恥ずかしいと思わんのか!」
ハヤタに張り倒されるイデ。イデはついに目が覚め、新兵器スパーク8でドラコを葬り去る。
その時、岩の中からジェロニモンが現れた。反重力光線にやられるキャップ達。その時、ハヤタはウルトラマンに変身した。 キャップ達を救い、ジェロニモンに立ち向かうウルトラマン。
ジェロニモンの羽根が念動力で自在に飛んで来る。苦しめられるウルトラマン。 だがウルトラマンは空中でスペシウム光線を放ち羽根を一掃する。 反重力光線を放つジェロニモン。だがウルトラマンはバリヤでそれを跳ね返し、逆にジェロニモンを浮かせて抱え上げる。 そしてイデに向かってうなずく。イデはスパーク8を撃ち、自らの手でジェロニモンを倒す。
立ち直ったイデ。イデは今日の英雄だ。が、英雄はもう一人いる。 人類のために戦ったピグモン…。キャップはピグモンに科学特捜隊特別隊員の資格を与え、皆で黙祷を捧げるのだった。

ウルトラマンがいれば怪獣やっつけ隊なんて要らないじゃないか。 誰もが抱くその疑問。その答えが今回の話である。
これは本質的に避けては通れない問題だ。「怪獣墓場」にしても今回の話にしても。 そしてシリーズの設定を単なるお約束としておざなりに扱うのではなく、真剣にとらえたからこそ今回のような話が生まれる。 だから「ウルトラマン」は名作なのである。子供だましの怪獣プロレスなどとは程遠い。
さて、その疑問を持つのはもちろんイデ。こんな役はイデにしか出来ない。 今回は、イデの初の主役編となる。え? 初の…って今までさんざんおいしいところを持っていってたのに?
いやあ、確かに例えばジャミラの時なんかは主役級の扱いだったんだけど、主役はジャミラの方だったからね。 どうしてもイデのおいしいところというのは怪獣に対する感傷みたいなものになってしまうんだけど、それは怪獣のキャラが立ってるから。 それを人間の立場から強調するような位置づけだったんだよね、イデという存在は。
だからイデは主役にはなれていなかったわけ。でも今回はどう見ても堂々たる主役。いやあ、良かった良かった。
ちなみに良くなかったのはピグモン。またしてもあっさり殺されてしまう。こういうあっけなさ、はかなさが人気の秘密かもしんないね。 科学特捜隊特別隊員に敬礼!
なお、ピグモン登場時に科特隊に出動要請するシーンで明らかになるのが、なんと科学特捜隊の電話番号。 おお、最終回間近になってこんな凄いものが明らかになるとは。ちなみにその番号は999だ。怪獣が現れたらすぐ電話しようぜ! おっと、怪獣もいないのにイタズラで電話すると、お姉さんが出てきて
「お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません」
なんて怒られるから、気を付けようぜ!
最後に裏話をひとつ。ウルトラマンの撮影は特撮と本編が完全に分離しており、出演者にも特撮の様子は分からずどんな怪獣が出て来るのか全然知らされていなかった。 最初の頃はデザイン画を覗きに行ったりしていたのだが、この頃になるとそんな余裕は全くなし。 それで、怪獣が出て来るシーンだというので科特隊の面々はそれを見てどっひゃーと驚くような演技をしたのだが、なんと出てきたのはピグモンだった。 キャップにまじめに怒られて、そのシーンは撮り直しになったそうな。大変ですねえ。
第38話「宇宙船救助命令」キーラサイゴ
脚本 上原正三  特殊技術 有川貞昌  監督 円谷一

長年謎とされていたQ星を探査するプロスペクターと、それを操作する宇宙ステーションV2。 だが、プロスペクターから送られてきた映像に奇妙なものが映った。それは凄まじい光を放ち、そこでV2からの連絡は途絶えた。 出動要請を受けた科特隊は宇宙船白鳥でQ星へと出発する。
宇宙ステーションV2に着いた科特隊。V2のスタッフは、あの光をまともに見て目が見えなくなっていた。 しかも、光を受けた時にステーションが故障してしまっていた。
故障したのはBMヒューズ。24時間以内に交換しないとステーションは爆発してしまう。 しかし地球から届けるのでは30時間はかかる。と、イデがプロスペクターにもBMヒューズが使われているのを思い出した。
Q星までは片道10時間。作業時間を含めて所用時間は計23時間。ぎりぎりだ。科特隊は早速Q星へ出発する。
Q星に着くや2匹の怪獣を発見する。怪獣キーラとサイゴは戦っていたが、キーラが眼から放つ光を浴びてサイゴは地底に逃げる。 怪獣を無視して進んだ科特隊は宇宙タンクを降ろしてプロスペクターのところに向かう。
が、岩場にはまり込んでしまい身動きが取れなくなる。そこに、地底から現れたサイゴが近付いて来る。 しかし科特隊は宇宙タンクで攻撃し、なんとかサイゴを倒す。
やがてプロスペクターの居場所に着いた科特隊。イデとアラシが降りていってBMヒューズを取りに行く。 と、そこにキーラが現れた。イデはヒューズを取ったものの、キーラが暴れ始める。 そこでアラシは新兵器ニードルS80で攻撃する。そして見事キーラの動きが止まったと思った時、キーラの眼が見開かれ、光が放たれた。
なんとかタンクに帰ったイデとアラシ。しかしキーラが岩を崩してタンクの退路を断ってしまう。 科特隊はやむを得ず歩いて帰ることにする。ハヤタが囮となりキーラの注意を引き、その隙にキャップとイデが歩いて帰ろうというのだ。
岩山を登りきるキャップとイデ。だが白鳥との間には険しい谷が立ちはだかる。 そこでキャップとイデは酸素ボンベから酸素を噴射させ、一気に谷を飛び越える。 そして無事に白鳥にたどり着いた二人。だがそこにキーラが近付いて来る。それを見たハヤタはウルトラマンに変身する。
キーラと戦い始めるウルトラマン。その間に無事に白鳥は飛び立つ。 キーラを回転させて弱らせるウルトラマン。だが弱ったと見せてキーラは眼から光を放つ。ウルトラマンはそれをまともに食らってしまう。 倒れるウルトラマン。しかし背を向けて去ろうとするキーラに、起き上がってウルトラスラッシュを放つ。 が、ウルトラスラッシュは尻尾で受け止められ、軽くはじかれてしまった。しかも続いて放ったスペシウム光線も全く効果がない。
再びキーラが眼を閉じた。次に開いた時が最後だ。しかしウルトラマンは岩陰に隠れて、なんとか光をやり過ごす。 そしてウルトラマンは大技ウルトラサイコキネシスでキーラを葬り去る。
BMヒューズの交換は無事に完了した。大爆発5分前のことだった。 プロスペクター計画は再開されることになり、科特隊は地球への帰路に就いたのだった。

科特隊、またしても宇宙での大活躍。なんと第16話以来だ。 しかもあの時は空気もあるアール惑星にチョイと漂流しただけだったが、今回は空気も光もないQ星に降り立っての大活躍。 宇宙線白鳥や宇宙タンク。そして宇宙ステーションに観測用のプロスペクターと、新メカもてんこ盛り。 最終回直前の大サービスだ。
またウルトラファンとしては、その宇宙ステーションがV2という名前なのに注目するだろう。 ひょっとしてこの宇宙ステーションは地球防衛軍・ウルトラ警備隊においても監視用として使用されたのではないか?と思うわけだ。 実際「ウルトラセブン」で大活躍してたのはV3だけど。 おお、V3と言えば、仮面ライダー…って、どんどん脱線してしまうぞ。
えー、本筋に戻るけど、いざ宇宙線白鳥でステーションに向かう科特隊。 が、あろうことかベルトも締めずに宇宙船に乗っている。なんと無謀な。いや、そもそも座席にベルトがない! 果たして、白鳥は流星群に遭遇し、クルーの面々はめいめいそこら辺に必死につかまって衝撃に耐えていた。 なんかこの白鳥って根本的に設計に難があるような気がする。岩本博士の設計か、これ?
そして今回、隊員は銀色のいかにもといった感じの宇宙服を着ている。ザラブ星人の時、いつもの制服が宇宙服代わりになることは証明されているのだが、いつもの制服では駄目なのか? いやそれは、そんな服では宇宙らしく見えなくて映像に説得力がなくなるから…ではなくて、多分いつもの制服は簡易宇宙服みたいなもので、あまり長時間は機能しないとかいった制限があるんだろう。 …ということにしておこう。うむうむ。
しかしハヤタ、変身する時すんなりベーターカプセル出してるけど、宇宙服のポケットにベーターカプセルを移しておいたのか? う〜む、用意周到な奴。
そしてウルトラマンとキーラとの戦い。私はこのキーラという奴が大好きだ。 なんと言っても、後ろ向いたままでウルトラスラッシュを尻尾であしらうその余裕! ウルトラスラッシュをはじいた奴と言えばグビラも思い出すけど、後ろ向き、しかも尻尾でポイッてのがいいよね。いやー、凄い凄い。
それに引き換えウルトラマン。 キーラの尻尾を掴んで回転させて目を回させようとするんだけど、キーラを中心に自分が周りを回ってるんで、自分の方がいつもより多く回っております状態。 果たして、キーラが目を回した頃にはウルトラマンの方が余計に目を回してフラフラになってた。なんか作戦に根本的に難があるような気がする。
しかしウルトラスラッシュもスペシウム光線も効かない強敵(またしても強敵登場だあ!)を相手に、最後にはウルトラサイコキネシスという、なんだかよく分からない念力技でキーラを倒す。 主役ならではの反則技だよな、これって。でもまあこれがウルトラマン最後の勝利だからいいか。
…そうなんだよなー、ウルトラマンが怪獣を倒すのはこれが最後なんだよなー。うるうる。
なお、ラストシーンでちょっと意外なものが見られる。それは煙草を吸うアラシ。 子供への配慮だろうけど、科学特捜隊の面々が煙草を吸ってるシーンというのは今まで全然無かった。 まあくつろいでるというのはよく分かるけど、ちょいと意外なシーンだな。
…ん? キャップ? そうだ、よく考えたらキャップはしょっちゅう司令室でパイプをくわえてたな。 んなとこで勤務中に煙草吸ってていいのかよお、キャップってば〜。
第39話「さらばウルトラマン」ゼットン謎の宇宙人
脚本 金城哲夫  特殊技術 高野宏一  監督 円谷一

空飛ぶ円盤の群れが地球に接近していた。世界各国が、そして我らが科特隊日本支部も厳重な警戒態勢を取る。 岩本博士は過去に現れた円盤群の挙動から、今回こそは侵略が目的だと推測する。
そして円盤群は地球圏内に侵入した。円盤群は迎撃部隊を全滅させつつ日本へと向かう。 科特隊パリ本部は、円盤群の目的を察知した。科特隊日本支部及びウルトラマンを撃滅した後、世界各地を襲うつもりだと。キャップは皆に出動を命じる。
ビートルが出動し、円盤群を迎撃に向かう。次々に飛来する円盤。だがビートルも負けずに次々と円盤を撃墜していく。 その頃、一人本部に残っていたフジ隊員は、岩本博士に首を絞められ気絶してしまう。 そして岩本博士は本部の設備を破壊していく。
ついに円盤群は全て撃滅された。キャップとハヤタは一機別行動を取る巨大円盤を追うが、逃がしてしまう。
本部に戻るイデとアラシ。だが本部は破壊され噴煙に包まれており、フジ隊員は犯人は岩本博士だと言う。 岩本博士を追うアラシ。キャップとハヤタがそれに続く。そしてアラシは岩本博士を殴り飛ばす。 キャップが博士を抱き起こすと、その姿は宇宙人だった。宇宙人が岩本博士に化けていたのだ。 マルス133の攻撃を受け、その宇宙人は消えてゆく。最後に「ゼットン…」と言い残して。
その時、付近の地中からキャップ達が逃がした円盤が現れた。そこから現れる巨大な風船。 その風船が割れた時、そこには怪獣の姿があった。怪獣ゼットンは本部に向かって進み始める。 だがゼットンにはマルス133も歯が立たない。その時本物の岩本博士からの救難の通信を受け、ハヤタとアラシは救援に向かう。 その背後にゼットンが迫る。ハヤタはベーターカプセルを取り出し、フラッシュビームを放った。
飛び立つウルトラマン。ゼットンの頭上で回転し、ゼットンを拘束するリングを放つ。 果たしてゼットンの動きは止まったが、ゼットンはウルトラマンに火の玉を放つ。倒れるウルトラマン。そしてゼットンはリングを弾き飛ばした。
テレポートまでやってのけるゼットン。ウルトラマンはウルトラスラッシュを放つが、ゼットンはバリヤーで難なく防ぐ。 そこでウルトラマンは肉弾戦を挑む。だがゼットンはパワーにおいてもウルトラマンを上回っていた。ゼットンに押え込まれ、カラータイマーが点滅を始める。
なんとかゼットンを跳ね飛ばしたウルトラマンは、スペシウム光線を放つ。だがゼットンは、そのエネルギーを吸収してしまった。 驚くウルトラマン。間髪を入れず、ゼットンはそのエネルギーをウルトラマンに向けて放つ。 まともにカラータイマーに食らい、動きが止まるウルトラマン。そこへゼットンはとどめにもう一発放つ。
ウルトラマンは倒れた。科特隊の励ましの声も虚しく、ウルトラマンは全く動かない。無敵のウルトラマンが負けた。負けてしまった。
科特隊は岩本博士の新兵器ペンシル爆弾を携え、ウルトラマンの弔い合戦に向かう。
ゼットンは科特隊本部を攻撃し、炎に包み込む。そこに、アラシが撃ったペンシル爆弾が命中する。 爆発し、四散するゼットン。科特隊の勝利だ!
その時、空からウルトラマンが飛んできた。いや、違う。ウルトラマンと同じ、光の国の使いだ。 彼は赤い玉を作り上げ、ウルトラマンをその中に包み込む。
彼の正体は、M78星雲の宇宙警備隊員ゾフィだった。彼はウルトラマンを光の国に迎えに来たのだ。 だがウルトラマンは、ハヤタを死なせるわけにはいかないと、それを拒否する。 自分の命を犠牲にしてでもハヤタを助けようというその意志を知ったゾフィは、自分が持ってきた二つの命で両者の命を救うことにする。
そしてウルトラマンとハヤタの体は分離された。 ハヤタを地上に残し、ウルトラマンとゾフィは宇宙へ向かって去って行く。
科学特捜隊の面々は、その姿にいつまでも手を振り続ける。 そしてウルトラマンとゾフィは、光の中へと消えていった…。

ついに最終回。世界初の巨大変身ヒーローものの最終回は、前代未聞の凄まじいものとなった。 …って、世界初なのに前代未聞というのも訳分からんけど。
いやそれにしても、その後のウルトラシリーズはもちろんその他のヒーローもの全てを見渡しても、こんな最終回はそう簡単には見つからない。
ゼットンに完膚なきまでにやられるウルトラマン。ゼットンは全てにおいてウルトラマンより一枚上手であり、ウルトラマンは全く太刀打ちできないのだ。 そしてそのままウルトラマンは敗北してしまう。ヒーローが全くなす術なく、敵に負けてハイ終わり、である。 こんなヒーローものがあってもいいのか!?
現在は引退した格闘王・前田日明が格闘技の道を歩むようになったきっかけは、ウルトラマンがゼットンに敗れたのにショックを受けたからだというのはその筋では有名な話。 とにかく今から見ると、ヒーローものとしてはショッキングな超異色最終回なわけだ。
だが、ウルトラマン最大のテーマはそこからにある。ペンシル爆弾で見事勝利する科特隊。
「おお!我々の勝利だ!」
そしてゾフィはウルトラマンに言う。
「地球の平和は、人間の力で掴み取ることに価値がある」
そう、第37話からもつながる話だが、自分達の努力なくして平和を掴み取ることは出来ないのだ。 ウルトラマンはそれを助けてくれるだけに過ぎない。
これこそが、「ウルトラマン」という作品が最後に残したメッセージではなかろうか。 ちなみに第37話も今回も、本作品の骨格を支えた金城哲夫による脚本。さすが、言うこと違うね。
ところで、岩本博士(今回はちゃんと平田昭彦である)の談によれば、円盤は1930年代から40年間に渡って地球をうかがっていたという。 ということは、現在は1970年代ということか? 最後になってまたこの作品の年代設定が分かんなくなってきた。
そしてこの岩本博士。そもそもこの人こそが、図らずも今回のウルトラマン敗北事件を起こした原因のひとつだ。 ウルトラマンすら歯が立たない強敵ゼットン。だが科特隊は既にそれすらも倒す超兵器ペンシル爆弾(などという呼び名は作中には出てこないが…)を完成させていた。 これを使えばウルトラマンは倒されずに済んだはずなのだ。それなのに岩本博士はそれを科特隊に渡さなかった。
その理由は…うっかり渡すのを忘れていたからだ。それでいて、ゾフィがウルトラマンをわざわざ迎えに来たのを非常に冷静に観察している。 あんた少しは罪の意識ってものがないのか! これだから万能科学者って奴は…。
さてウルトラマンの最後の戦いなのだが、カラータイマーは1分30秒で点滅を開始している。 最初のリング攻撃(最後になってまた新しい技を出すんだから…)でエネルギーを結構消耗してしまったのだろうか?
そして点滅開始時、おお、凄く久しぶりのカラータイマー解説ナレーションが流れるではないか。さすが最終回。
と、ゼットンにやられてしまった後の話。普通は倒れた時点でウルトラマンが死んでしまったと思うんだろうけど、違うと思う。 あそこで眼の光が消えたり悲しい音楽や回想シーンとかが流れたりして、いかにも死にましたという演出なんで、それに騙されてるだけ。 倒れた時カラータイマーはまだ光ってたし、まだ生きてたと思うよ。だからゾフィとも話せたわけね。 ゾフィもそんなに急いでた様子じゃなかったので、すぐ死ぬという緊急事態でも無かったようで。くそ、騙された。(ぉぃぉぃ)
そのゾフィ、ご存知の通り抜け目の無い金メダリストなんだけど(知らない人は「ウルトラ兄弟出撃指令」を参照のこと)、声を演じるはナレーターの浦野光。 ナレーターは番組中で最強の存在だ。その声に逆らえる作中キャラはいない。まさにうってつけの人選と言えよう。 だから
「私は命を二つ持ってきた」
なんて言われても、命は持ち歩けるものなのかとか、二人とも助けられるならケチケチせずに最初から出せよとか、そういうことを全く言わせないだけの権威に満ちているわけだ。 ナレーター様と同じ声のお方のおっしゃることなんだから、疑問に思ってはいけない。
しかしゼットンに対しては遠慮なくツッコめる。科特隊本部に迫る時のワンシーン、胸や口が光っていなかったのは誰でも見逃さないだろう。 そこが光ってないと全身真っ黒なんだよね、ゼットンてば。最終回なんだし最強のゼットンなんだし、ちゃんとして欲しかったな。
そして最後。ハヤタはウルトラマンと分離されたが、ハヤタは竜ヶ森でウルトラマンと衝突してからのことを何も覚えていなかった。 さすが。ゾフィがわざとそうしたのか勝手にそうなってしまうのか、ウルトラマンは地球人を一人殺したという事実を完全に隠蔽して地球を去ってしまった。 被害者がいなくなってしまった、見事な完全犯罪だ。かくしてウルトラマンは自分に全く汚点を残すことなく、輝ける光の中へと消えていったのだ。
さらばウルトラマン。もはや君が殺人者であることを知っている者は誰もいないよ。
…って、名作ウルトラマンに対して最後の最後までこんな解説していいのかなあ、しかし。

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