ウルトラマン

放映

昭和41年7月17日〜昭和42年4月9日、全39回
TBS系
毎週日曜19時〜19時30分

概要

地球にやってきたM78星雲の宇宙人が、凶悪怪獣を追っている途中で科学特捜隊のハヤタ隊員を死なせてしまった。 そこでその宇宙人はハヤタと一心同体になり、自らの超能力で地球を守ることを決意する。 その名はウルトラマン!

解説

言わずと知れた日本特撮史上初の巨大変身ヒーロー。制作はもちろん円谷プロ。 「ウルトラQ」の後番組として制作され、巨大ヒーローものの基本フォーマットを確立した作品。 ちなみに単に巨大ヒーローというなら、「マグマ大使」の方がわずかに放映が先。

局側の要望で「ウルトラQ」は怪獣路線になったが、作っていてスタッフたちが困ったのは、主役3人がいつも怪獣に出くわすこと。 毎度毎度彼らが怪獣に会うのは話に無理がある、というわけだ。 そこで、次はいつも怪獣に会っても不思議でない人達を主人公にしよう、ということで「科学特捜隊」の企画が誕生。

だが、それだけでは何か物足りない。 そこで、アメリカのスーパーマンのようなヒーローを出したらどうかということになった。 しかし大怪獣を相手に等身大のヒーローでは話にならない。 そこで、ヒーローも巨大にしようということで、かつて類を見ない新ヒーローが誕生することになった。

円谷プロでは「WOO」の企画を再検討。 謎の巨大宇宙生物が人間たちを助ける「科学特捜隊ベムラー」という企画ができあがった。 このベムラーというのはデザインまでできていて、これがなんと日活の「大巨獣ガッパ」にそっくり。 でも別にデザインを盗まれたわけではないそうな。

しかし怪獣が主役ではまずかろうと、タイトルを「レッドマン」に変更。 これもデザインができてるんだけど、なかなかウルトラマンに近くなっている。 最終的にはタイトルは「ウルトラマン」に決定。 けどベムラーの名前も捨てるには惜しいと、第1話で登場する怪獣の名前に使うことに決定。

非常に有名かつ斬新な、3分間しか戦えないという設定のアイデアは、元々予算から生じたものだそうだ。 特撮部分が長くなると金がかかるので、それくらいにしてくれ、ということらしい。 しかしカラータイマーのおかげで戦いに緊張感が生まれており、非常にいい効果を残している。

あのスペシウム光線の独特の構えも、結構適当に考え出されたものらしい。 銃を構えるようなイメージで、実際には何もないから手をクロスさせたということだそうだ。 もっともそういったリラックスした雰囲気で作られたからこそ、この名作が生まれたのだろう。

これまた有名な話だが、ウルトラマンの中に入っているのは「ウルトラセブン」のアマギ隊員こと古谷敏。 「ウルトラQ」でも着ぐるみの中や素顔で何度か出ていたのだが、そのスタイルの良さを買われての抜擢。 しかしアクション専門の人じゃないので、火薬を使うと恐がって及び腰になってしまった。 それであのウルトラマンのしっかり腰を落とした前傾姿勢が出来上がったという次第。

なおウルトラマンの顔は3タイプある。(こういうとダダみたい) 第1話〜第13話までのAタイプ。第14話〜第29話のBタイプ。第30話〜第39話のCタイプである。 Aタイプは表面がゴワゴワしていてなんかブサイクだが、これには理由がある。 「ウルトラ兄弟出撃指令」で述べた通り、地球に来た当初はウルトラマンは罪の意識にさいなまれていてストレスがたまっていた。 更に慣れない地球の環境のせいもあって、顔に吹き出物が沢山できたのだ。 しかし時が経てば次第に罪の意識も薄れ、地球にも慣れてきたおかげで、元の男前に戻ったというわけだ。…ってホンマかいな。

えー、制作側の都合を言うと、Aタイプはラテックス製で口を動かせるように仕掛けをしておいたのだが、うまくいかないしシワができるのでFRP樹脂のBタイプに変更したというわけ。 そして終盤では、更に雰囲気を変えたCタイプを使うようにした、と。

さて内容面についてだが、怪獣が暴れてウルトラマンにやられて終わり、などという単純なものにはなっていない。 フォーマットは確かにそうなのだが、東宝特撮で鍛え上げられ「ウルトラQ」でテレビ作品のノウハウを手に入れたスタッフがただそれだけのものを作るわけが無い。

単なるヤラレ役にとどまらず、それ自体が魅力あるキャラクターとして成立する個性溢れる怪獣たち。 1回限りの登場なのにソフビ人形などが発売されてしまうのだから、よく考えたら驚きだ。

そして、その怪獣の出現によって進められるストーリーは様々なテーマを有している。 時には人類のあり方に疑問を投じ、またある時には科学特捜隊やウルトラマンの存在意義すら揺るがす。 何かと問題作/異色作になった佐々木守・実相寺昭雄コンビの作品を始めとして、深い話が数多い。 この深さもまた、本作品を名作と言わしめる要因なのだ。

とにかく、日本特撮の巨大変身ヒーローの原点にして全ての源。 これを見ずに日本特撮は語れない。

ウルトラマンとは?

M78星雲、光の国から来たウルトラマンは、宇宙怪獣ベムラーを護送中に逃げられ、それを追って地球に来た。
身長40メートル、体重3万5千トン。飛行速度はマッハ2.5で、年齢は2万歳以上。

武器は、まずスペシウム光線。スペシウムは火星に存在し、バルタン星人が苦手としている物質である。 また、スペシウムをリング状にして放つウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)も強力。 その他、水を放つウルトラ水流、アタック光線など。 更には、自らの寿命を縮めることになるがウルトラテレポーテーションという大技も繰り出す。

科学特捜隊とは?

科学特捜隊、通称科特隊はパリに本部を置く国際科学警察機構の日本支部。 警察では処理できない怪事件を担当する。相手は主に宇宙人や怪獣。 日本支部は東京の郊外にあり、変わった形の目立つ建物の中にある。

主戦力はビートル機。ビートルとはVTOLのこと。映画「妖星ゴラス」にも登場している。 大型のジェットビートルと小型の三角ビートルの2種類が存在する。

その他、地上では専用車(武装無し)で移動し、水中では特殊潜航艇を使用する。 また、第29話では試作品ながら地底戦車ベルシダーが登場した。

携帯用攻撃武器としては、基本装備として小型光線銃のスーパーガン。これは先端にアタッチメントを付けることでペンシル爆弾や風船爆弾なども使用可能。 また、更に強力な武器として原子エネルギー光線銃のスパイダーショット。非常に重いのでアラシ隊員しか使いこなせない。 その他、第16話でバルタン星人に対抗すべく開発された、スペシウム光線と同じ威力を持つマルス133など。

隊員達は普段は青いブレザーを着ているが、出撃時にはその服を脱ぎ捨てる。 すると下から出動用のオレンジ色の隊員服が現れる。 なお、フジ隊員はブレザー姿の時はスカートなのだが、隊員服は他の隊員と全く同じズボンスタイルである。 彼女だけは普段は下に隊員服を着込んでいないと思われる。

なお設定上は、科特隊のたった5人しかいない面々はムラマツ班と呼ばれる1チームに過ぎない。 他にも××班と呼ばれる20ものチームがあるのだ。 …だそうだ。どんな大事件でもムラマツ班しか動いていなかったように思うのだが。

登場人物

ナレーターは、19話までは石坂浩二で20話からは浦野光。

なお、科特隊メンバーの年齢は資料によって異なっている。 まあ大体ということで。

ハヤタ(黒部進)
ベーターカプセルから放つフラッシュビームでウルトラマンに変身する。科特隊の養成学校を主席で卒業したエリート。25歳。 第1話で命を落としウルトラマンと命を共有するが、第39話でゾフィから命を与えられウルトラマンと分離する。 そしてウルトラマンと共にいた頃の記憶を全て失ってしまう。
いつも非常にマジメな性格で頭もきれる。だが、時々お茶目なことをする。
ムラマツ(小林昭二)
常に冷静沈着な科特隊日本支部のキャップ。35歳。時に厳しく、時に優しく。実に信頼できる上司である。 ちなみにクレジット上は主役を差し置いてトップに紹介されている。
アラシ(石井伊吉)
勇猛果敢な銃の名手。28歳。スパイダーショットを軽々と使いこなす。
イデ(二瓶正也)
マルス133などを開発した発明狂。23歳。ギャグメーカーだが実はナイーブで、結構深刻に悩むこともある。
フジアキコ(桜井浩子)
科特隊日本支部で唯一の女性隊員。22歳。主に本部で通信を担当しているが、実戦にもしばしば参加する。 第33話で怪獣の仲間入りをする。(ちがうって) 江戸川由利子の親戚かどうかは定かではない。
ホシノイサム(津沢彰秀)
関係者以外立ち入り禁止の科特隊に自由に出入りする謎の少年。12歳。 第17話で念願の科特隊少年隊員となる。後半になると出てこなくなるが、本格的に科特隊隊員の養成学校に入ったからという説がある。
岩本博士(平田昭彦)
科特隊で各種新兵器開発などを担当している。第4話で何の説明もなく登場。 ビートルはこの人が作ったものだし、オキシジェンデストロイヤーもそう。…ってこれは違うぞ。 第39話でこの人がうっかりしていなければウルトラマンは死なずにすんだ。

全話リスト

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あらすじ付きなら以下を。

「ウルトラマン前夜祭」

前作「ウルトラQ」の第28話「あけてくれ」の代わりに放映されたもので、7月9日に杉並公会堂で行われたイベントの録画中継。 モノクロ。 要するに、全く新しいタイプの番組である本作のプロモーションを行なったということ。

その内容は、半ばコントを交えながら、怪獣出現・科学特捜隊出撃・ウルトラマン登場といった基本シーケンスを紹介。 科学特捜隊の面々の紹介やウルトラマンの謎についての話などをしつつ、更に最後には御大円谷英二までも登場。 ファンとしてはやはり一度は見ておきたい作品である。

放映昭和41年7月10日
出演モンスター博士田中明夫
番人たち伊藤素道とリリオリズムエアーズ
泥棒たちナンセンストリオ(江口明・岸野猛・前田隣)
科学特捜隊&ホシノ少年上記参照
円谷英二本人
脚本金城哲夫
演出実相寺昭雄

怪獣リスト

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