アースコンセントを作る時には三つの落とし穴があります。アース棒を打ち込めば良いというものではありません。
次の点に特に注意してアース付コンセントを作って下さい!
- 打ち込むところは「じめじめ」しているところ
- 打ち込むところは絶対に埋設物がないところ
- アースと接続する線はより線なら2mm2(2スケ 2平方ミリメートル) 単線ならφ1.6mm(直径1.6mm)以上
アースコンセントの作り方は
- アース棒を打ち込むところを決める。
アース棒を打ち込むところは電気が通りやすいように地下水位(地面を掘って水が常にたまるところの高さ)以下ところが望ましいですが、次善の策としてなるべくじめじめしていて乾燥していないようなところが良いです。
- アース棒を打ち込みます。
なるべく深く打ち込む方が望ましいです。
- 接地抵抗計があれば所要抵抗値になるまで打ち込むことが必要です。
通常のアースコンセントの場合はD種接地工事ですので100オーム以下になることが必要です。
(0.5秒以内に自動で電路を遮断する装置(漏電遮断器)があれば500Ω以下に緩和することができる;
ネットよりのご忠告で加筆しました。ありがとうございます。 )
- アース棒の銅線とお部屋までの銅線(より線なら1.25mm2・単線なら1.6mm以上)を接続します。
お部屋のコンセントは特に指定がないと20Aのブレーカーに繋がっているます。20Aブレーカーの場合です。30Aのブレーカーに繋がっている場合はより線なら2mm2・単線ならφ1.6mmにして下さい。
- コンセントにアース線を接続する
アース棒を打ち込んではいけないところ
アース棒は必要な深さまで埋め込みます。穴を掘って埋めるより打ち込む方が簡単なので通常は打ち込みます。
下水道や上水道・ガス管・電線管・電信管が地中にないことを確認の上打ち込むことが特に必要です。
簡単なアースの工事が最悪の結果を招くことがあります。
アース棒の打ち込み方
アース棒の打ち込みはもちろんハンマーを使います。大きめのハンマーをゆっくりとまっすぐに振り下ろします。
地表がコンクリート敷きの場合は前もってドリルで穴をあけておく必要があります。地中には転石(大きな石)があることがあって打ち込みができないこともあります。その場合は早めに打ち替える方が得策です。曲がって使い物にならないためにもゆっくりと打ち込むのが最善です。
アース棒が問題なく打ち込まれているかどうか確認する方法
アース棒が適切に打ち込まれているかどうか確認する必要があります。所定の接地抵抗以下かどうかを測定する必要があります。接地抵抗を正式に測定するためには補助接地極を2箇所所定の場所に設けなければなりませんのでここでは簡易測定します。
接地抵抗を計るためには接地抵抗計が必要です。普通の抵抗計で測定すると直流なので地中内で電気分解が進んで抵抗値はみるみる上がって最後には電気的に絶縁状態になります。
接地抵抗計は交流で測定していて電気分解は起こりにくい構造となっています。
接地抵抗計が手元にある場合はE端子を測定するアース棒へ接続しC端子とP端子を短絡(繋ぐこと)してそれを電力線のW線(N線)に接続します。この状態で測定します。
測定値が100オーム以下なら打ち込み成功です。
100オームを超える場合はもっと打ち込むか打ち込む場所を変えるかして下さい。
注意;測定は活線(電気が通っている状態)で測定しますのでくれぐれもW線(N線)を間違えないようにして下さい。コンセントなどでは配線が間違っている場合も考えられますのでご注意下さい。
アース棒の構造
アース棒は打ち込むときに曲がらないような丈夫な構造で、それでいて電気伝導率が高い物が必要です。
電気伝導率は金属では銀に次高い銅が用いられます。すべて銅であると高価であるのと打ち込むときに曲がることを考えて銅メッキとなります。銅を厚くメッキ(厚さ0.3mm程度)した鋼棒またはS字状に曲げた鋼帯・パイプをアース棒にします。
アース棒にはハンダ付けまたは圧着した銅線を接続してあります。
アースまでの銅線の太さの選定
内線規定により下記の太さとすることが求められています。
AT×0.052=接地線最小太さ(単位はmm2)
AT:アースを付けなければならない電気回路についているブレーカーの容量(単位はAアンペア)
20A(20アンペア)のブレーカーが付いている回路
20×0.052=1.04mm2
単線ならφ1.6mm より線なら1.25mm2
30A(30アンペア)のブレーカーが付いている回路
30×0.052=1.56mm2
単線ならφ1.6mm より線なら2mm2
となります。
アース線の太さの選定の解説
解説:電気回路の絶縁がなくなった時に流れ出る電気を安全にアースに流すため太さが設定されています。
ブレーカー容量の20倍電気量が0.1秒間瞬間的に流れると仮定して銅線の絶縁が劣化しない銅線の太さ(断面積)を求めています。
また電気工事の現場ではmm2(平方ミリメートル)はスケと呼んでいます。
2mm2は2スケです。
スケはsquare millimeter(スクア ミリメートル:平方ミリメートル)の略です。
アースの設置の根拠法規
電気設備に関する技術基準を定める省令に接地に関して規定されています。
(電気設備の接地)
第十条
電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電路に係る部分にあっては、第五条第一項の規定に定めるところによりこれを行わなければならない。
電気設備の接地の方法)
第十一条
電気設備に接地を施す場合は、電流が安全かつ確実に大地に通ずることができるようにしなければならない。
接地抵抗の測定
家庭で行う接地抵抗はD種接地工事と言い抵抗は100オーム以下と規定されています。
接地抵抗は普通の電流計では測れません。普通の電流計は電池が入っていて直流で計ることになっています。地中に埋め込まれたアース棒は付近にある水分を通じて大地と繋がっていて直流をそこに流すと水分が電気分解されて徐々に抵抗値が上がってきます。実際に流れる交流の電流の抵抗値を測定することが出来ません。
接地抵抗計は交流で計りますので電気分解の影響を最小限に抑えるようになっています。
接地抵抗計
D種接地工事
メールでご忠告がありました。2020/10/9
家庭内配電盤に漏電遮断機が0.5秒以内動作設置してある場合
D種接地工事は
100Ωでなく500Ωで大丈夫ではないでしょうか
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サイト管理者
ご忠告ありがとうございます。
今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
電話で問い合わせがありました。
質問:アースとアース線はハンダ付けでも良いですか
答え:アースとアース線はハンダ付けは腐食の環境でなければ問題ありません。水で濡れるような状況なら融着テープを巻いて防御して下さい。
2020/9/4問い合わせがありました。
大変わかりやすいhpだと思いました。そこで図々しのですが教えて下さい。先日門柱灯を購入し、合わせて設置工事を注文し、工事が終わり点灯を確認して工事完了に捺印しました。その時工事人が置いていった、保証書と施工取扱説明書を確認すると、D種接地工事を行うと記述されていました。確認すると接地工事はされていませんでした。販売店に確認すると、設置工事に接地工事は含まれていない、別に11000円かかると言われました。すでに9000円もの設置工事費を払っているので、自分(2種電気工事保有 でもペーパー免許)で接地棒での接地工事を考えたのですが、1回の接地工事に高価な接地抵抗計の購入はあまりにも高い!そこで家の外に設置されている防雨形設置端子付コンセントにアース線を繋げてようと考えています、距離的には7mです。良い方法を教えて下さい。
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7m離れているアースコンセントのアースと共用するという意味でしょうか。
アースの共用は次の場合可能です。
1.同じブレーカーで保護されている回線
同時に漏電した時容量がオーバーするため
2.音楽関係の機器が接続されている場合
音楽関係の機器は微妙に影響するため雑音が入る恐れがあります。
共用するなら次の線で接続ください。
20A(20アンペア)のブレーカーが付いている回路
単線ならφ1.6mm より線なら1.25mm2
30A(30アンペア)のブレーカーが付いている回路
単線ならφ1.6mm より線なら2mm2
上記メールフォームから投稿がありました。(2020/6/15)
質問:役立つ情報有難うございます。古い家でアース付きコンセントがひとつだけ付いていたのですが、テスターの一方をコンセント、もう一方をアース口にいれて測った時60vくらいしか示さなかったのですが、これではアースは取れてないということでしょうか?
答え:電圧計の中の抵抗等が不明ですので、にわかにはわかりませんが、アースは取れていないと思います。
正確には接地抵抗計で測定すべきだと考えています。
次に仮定を含めた模式図を示します。
電圧計内の抵抗を仮に5KΩと10KΩとして接地抵抗なしの場合(青字の場合)は電圧計(実際は電流計ですが)は0.01Aです。接地抵抗を5KΩ(赤字です)とすると電圧計は、0.004Aを示すことになります。
0.01Aが、100Vとすると0.004Aは40Vとなります。
従って60Vということは電圧計の抵抗より少し少なめの接地抵抗だということがわかります。
少なくとも100Ω以下ではないのでアースとしては不適です。
このように接地抵抗を測定する方法もありますが、接続方法を間違えると思わぬ事故・ケガをする恐れがありますので、くれぐれも充分にご注意のお願いします。
売電電源側とアースとの電圧の測定しているところ。
上記メールフォームより投稿がありました2020/5/23
エアコンにアースが必要となったのでその理解のたすけになりました。ありがとうございました。
上記のメールフォームから投稿がありました。18/09/08
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(earth-consent)
役に立った
(opinion)
今、とある電気屋さんにアースの取り付け工事を依頼しているのですが、
どのように取り付けるのがある程度知っておきたかったので、
とても参考になりました。ありがとうございました。
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ご評価頂きありがとうございます。
その他コメントはありませんが、「役に立った」というものが下記の日にありました。
19/01/18
19/01/14
18/12/12
18/12/10
18/11/28
18/10/27
18/09/18
18/09/12
17/05/02
16/12/29
できればコメントもお願いします。
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19/6/19
(earth-consent) 役に立った
(opinion) 大変判り易い説明でした、ありがとうございました。 -----------------------------------------------
20/2/15
施工してあるはずが施工後10年以上してからアースが施工されていない事を知りました。自分でやろうとここを参考にさせていただきました。大変助かりました。一つ質問ですが、アース棒とあアース線を圧着端子で繋ぐと思うのですが、P型スリーブでいいのでしょうか?またはリングスリーブでしょうか?
私はリングスリーブを使っています。P型スリーブでも確実にカシメてください。腐食がある場所でしたら対策してください。
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先日リングスリーブの件で書き込ませていただいた者です、教えていただきありがとうございました。
また質問なのですが、手持ちのPスリーブのサイズP-8で圧着しようとアース線1.6mmとアース棒に圧着されている太いより線の銅線の装着を試みましたがP-スリーブが小さすぎまして入りませんでした。
アース棒の銅線の太さは約3mmでしたがこの場合どのサイズのPスリーブを使用すればいいのでしょうか?またリングスリーブの場合はどのサイズを使うのでしょうか?ご教授いただければ幸いです。
それから(腐食がある場所でしたら対策してください。)との事ですが対策は融着テープや熱収縮テープで問題ないでしょうか?
私はリングスリーブのみを使っています。
たぶん”小”には入らないので”中”でカシメています。
腐食については、腐食的雰囲気ならば考える必要がありますがどの程度で問題があるか調べてみます。
しばらくお待ちください。調べてみないとわかりませんが単純に雨でぬれる程度では問題ないのではないかと思います。。