ウルトラマンネオス

平成12年11月〜平成13年5月、オリジナルビデオ 全12話
ビデオ/DVD 全12巻

概要

300万年に一度、地球は宇宙の闇・ダークマターを通過する。 そこでは、何が起きても不思議ではないアンバランスゾーンとなるのだ。 そして発生する大異変や怪獣の出現。 そこで、そんな事態に備えて結成された組織・HEARTが出動する。だが怪獣は手強く、HEARTは苦戦する。

そんな時、HEARTのカグラ隊員はエストレーラーでウルトラマンネオスに変身し、怪獣と戦う。

ウルトラマンネオスはゾフィーが派遣した光の国の戦士。 先輩格であるウルトラセブン21と共に、ダークマターの脅威から地球を守るのだ!

解説

平成セブンに続くビデオ新作ウルトラシリーズということで、ついに映像化されたウルトラマン。 元々は映像化を前提としてパイロットフィルムまでが作成され、「ウルトラマンティガ」の前企画だったものであるのに、結局はアトラクションショーに登場するだけとなった不憫なウルトラマンだった。 しかし21世紀になってようやく、オリジナルビデオとして登場することになったのだ。 またネオスと共に生まれたキャラクターである、ネオスのパートナー・セブン21(せぶんつーわん、と読む)や、敵のザム星人ももちろん登場する。

平成テレビシリーズのウルトラマンは新設定で登場した。もはやM78星雲からの使者ではなくなっていたのだ。 作品のテーマなどを考えればそれは非常に妥当な選択ではあったのだが、旧作のファンとしては残念な面もあった。 しかーし、そんな思いを知ってか知らずか、このネオスは当然のようにM78星雲からやってきた、宇宙警備隊の戦士なのだ!  バンザイ!

そしてその設定はもちろんうまく生きていて、本作にはなんとゾフィーが登場する!  今になってゾフィーの新作映像が見られるなんて! ああ、幸せ。 ちなみに、このゾフィーの声を演じるのは、ティガのムナカタリーダーこと大滝明利。 平成セブンからの流れで見ると、平成セブンシリーズから本作まで、擬闘を担当していることでおなじみだ。 そしてヒーロー大好きな彼は、最後のゾフィーの登場の際には自らスーツに入っている。必見だ。(って、誰が入ってるかなんて分かんないけどさ)

ちなみに当初は、ウルトラファミリーがもっと登場することも考えられていたようだが、残念ながらそれは果たされなかった。 まあ確かにウルトラマンがたくさん現れると話も画面も収拾がつかなくなってくるから、それはそれで正解かもしれない。12話しかないことだし。 しかしその代わり、セミレギュラーであるセブン21が大活躍。ネオスとセブン21のタッグによる戦いは非常に爽快だ。

また、音楽は冬木透が担当。曲のイメージとして「ウルトラセブン」「帰ってきたウルトラマン」の両方をほうふつとさせるものがあるので、旧作ファンは要チェック。 曲もそうだが、ネオスは初代マンに、セブン21はもちろんセブンにイメージが似ていることもあり、曲と絵の両方からなんとも懐かしい雰囲気を感じ取ることもあるのではなかろうか。 オープニングナレーションは「ウルトラQ」みたいな雰囲気でもあるし。

さて、話の内容の方はどうだろう。 平成テレビシリーズでは、子供の頃ウルトラシリーズを見て育った大人たちの観賞にも耐えられるよう、ドラマ性が重視された。 そして本作の前に作られた平成セブンシリーズ。いかにもセブンらしく、重いテーマをシリアスに描いていた。 が、見ごたえがあるのはそれはそれで喜ばしいことなのだが、そのために難しいテーマを扱いシリアス過ぎるムードになったり、子供には分からない難解なストーリーが展開されるなどでは、ちょっと困りものな面も感じる。 メイン視聴者である子供を置いてけぼりにしてはいけない。

そして現れた本作。平成セブンの次の作品とは思えないくらい、実に分かりやすいストーリーが展開される。 主人公サイドの主張も非常に分かりやすく共感しやすいため、ネオスの戦いも実に思いきりが良く見ていて気持ちいい。 ネオスの勝利こそが作品のテーマの完遂につながるのだし、見ている方もそれに何の迷いも感じないからだ。 ネオスとセブン21が一緒に現れると見ている方も倍以上に楽しめるのは、そういうところからなのだ。 娯楽作品はこうでなくては。

そしてストーリーが分かりやすいからと言って、子供だましの強引なストーリーかというとそうではない。 脚本はしっかりしており、大人の観賞にも充分に耐えられる。 だが子供にも理解できるようなストーリーのため、重いテーマのウルトラマンに慣れてしまった人から見れば物足りないと感じるかもしれない。 ストーリーが単純なのは、テーマが軽めに設定されているからなのだ。 人類の存在意義について悩んだりするような、大きな重いテーマは全く無い。 ミスしてもくじけずがんばってそれを乗り越えていこうぜとか、過去の遺恨にこだわらずに前向きに進んでいこうぜとか、そういったシンプルで描きやすいテーマばかりなのである。 こんな調子なら確かに、暗いムードになったり難解なストーリーになったりすることはあるまい。

登場人物が深刻に悩み、難しいことを考えるばかりがリアルなドラマ作りではなかろう。 ちゃんと説得力を持った展開であれば、明るく単純明快で大人でも見ごたえのある特撮ドラマを作ることはできるのだ。 例えば第1話で、初めて姿を現したネオスに対してHEARTはなんと攻撃を加える。 「ウルトラマンG」でも描かれたこの状況だが、確かによく考えたら、怪獣に攻撃するならウルトラマンに攻撃するのも当たり前ではないか。 こうした細かい描写の積み重ねが、地に足のついたドラマ展開を形作る。

近年のシリアスな展開を見せるシリーズとは違った趣のウルトラマン。 だがストーリーを明快にすることによって、ウルトラマンの魅力、怪獣の魅力、戦いの魅力などを存分に見せるこの作品は、ある意味では原点回帰とも言える。 シリアス系が好きな人も、肩の力を抜いて見てみてはいかがだろう。

ウルトラマンネオスとは?

M78星雲の宇宙警備隊、勇士司令部から派遣されたウルトラ戦士。 カグラ隊員と一心同体になって地球にとどまる。

身長58メートル、体重5万9千トン。

必殺技はネオマグニウム光線。そのポーズは、前振り付きだが最後にはスペシウム光線のポーズになる。 エネルギーを大量消費するので、うかつには使えない。 そしてスペシウム光線ポーズを取るウルトラマンのお約束として(?)、ウルトラスラッシュも使える。 また、ネオマグニウムエネルギーを右腕に集中させて放つ、ウルトラエディビームという技もある。 その他、額のブロウスポットからは様々な性質に変化させられるウルトラマルチビームを放つ。

ウルトラセブン21とは?

M78星雲の宇宙警備隊、宇宙保安庁に所属するウルトラ戦士。

身長56メートル、体重5万7千トン。

元々は彼が地球防衛の任に就くはずだったが、担当区域で発生した異変に対処する必要が生じたため、急遽代わりにネオスが派遣されることになった。 そこでセブン21は、可能な限りネオスのサポートとして地球に赴くことを決意したのだ。 地球に来た時は地球人の姿に変身することが多いが、その姿は一定しておらず、事件の度に姿が変わる。 またそこから元の姿に戻る時は、残念ながらウルトラアイのようなアイテムは使わず、そのまま姿が変わってしまう。

しかし必殺技は、セブンならやっぱりこれでしょ、の頭部のブーメラン、ヴェルザード。またの名を21スラッガー。 また、セブンならこれもそうでしょ、の額のビームランプから放つアドリウム光線。 そして、セブンならこれもなくちゃ、の腕をL字型にして放つワイドな光線、レジアショット。

HEARTとは?

ダークマターがもたらす怪現象の数々に対処すべく、総合本部基地を日本に置く国際防衛機構DJ(Defensive Jurisdiction)が設立された。 そのメンバーの中から特に選ばれた面々によるチームがHEART(High-tech Earth Alert and Rescue Team)である。 HEARTは内閣情報室に所属しており、国内で発生する怪現象に対処する。

隊員はHEARTスーツとHEARTメットを着用し、HEARTポップという通信機兼用の超小型パソコンを携帯する。 また、アタッチメントによって機能が様々に変化するHEARTダイヴァーズガンを装備する。 更に、巨大なバズーカ砲のごときヒートブラスターという銃もある。

地上移動用には、まず特殊車両ハートビーターSX。最高速度は時速333kmで、レーザー砲やバズーカ砲を装備し、空も飛べる(というか浮かぶというか…)優れもの。 また通常のパトロールには、ハートビーターRXを使用する。特に武装はなく探索などを得意とする車両で、最高速度は291km。

戦闘機としてハートワーマーとハートウィナーを装備する。 ハートワーマーは動く司令室で、現場での行動拠点となる。 ハートウィナーは2人乗りのジェット機で、偵察から戦闘まで何でもこなす。

なお作中には登場しなかったメカとして、ジェットヘリのGJ、潜航艇ターボットSS号、スーパーバイクのソクイード555、小型タンクのダッキーなどもある。

登場人物

ナレーターは沢木郁也。
カグラ ゲンキ(高槻純)
エストレーラーでウルトラマンネオスに変身するHEARTの隊員。22歳。 かつて宇宙へダークマターの調査に行った際に、仲間を救うために宇宙空間に投げ出された。そこをゾフィーに救われ、ネオスと一心同体になったのだ。 そうとは知らぬHEARTにおいては、彼は奇跡的に生還したことから「ミラクルマン」の異名を持つ。(なんと!)
名前の通り元気いっぱいの明るい青年で、常に前向きに行動する。が、あまり無茶はしない。 アスカに脳みそを足して、それに我夢の子供っぽさを少し足したようなイメージ。(なんのこっちゃ)
ちょっと頼りなさそうだが、強引にHEARTの中でネオスやセブン21の名付け親になってしまうあたりは侮れない。 そりゃまあ、ネオスに変身して必死に戦ってる時に、「マウンテンガリバー、がんばってー!」なんて言われたらやる気なくすだろうから、皆に本名を認知させるのは非常に重要なことだけど。
ウエマツ ヒロノブ(影丸茂樹)
HEARTの副隊長。30歳。厳しさと寛容さを併せ持つ、よくできた人。他の隊員や隊長からの信頼も厚い。つまりそのなんというか、ありがちな副隊長である。 しかし今でこそ立派な副隊長だが、実はかつて2度の隊員を経たあと参謀にまで昇りつめていたので、立派ではなく大幅な降格なのである。(ぉぃ)
ヒノ タカヨシ(森田猛虎)
HEARTの隊員。26歳。頭脳派で各種発明なども行ない、結構お調子者。しかしナイーブな面も持つ。 なんか発明家隊員の黄金パターンを踏襲した人物である。体型は普通だが、顔は一度見たら忘れられない、なんとも個性的な人。
ハヤミ ナナ(瑠川あつこ)
HEARTの隊員。24歳。パイロットとして超一流であり、しかも医学博士であり多岐に渡る関連分野にも詳しい…らしい。 作中では、真面目な行動派の隊員といった印象だけが強いが。 カグラのことを「カグラくん」と呼ぶ。カグラとの間はなんとなくいい雰囲気になりそうではあったが、特に進展せず。 今でこそ立派な隊員だが、かつてはセクシーな格好で千年王国3銃士と戦ったことがあるとかないとか。
キタバヤシ アユミ(坂本三佳)
HEARTの隊員。21歳。普段は直接戦闘には参加せずにデータ分析などを行なうコンピュータの天才。 その天才としての自負からか、隊長だろうとお偉いさんだろうとタメ口をきく大胆な人。考え方は非常に論理的。
ミナト ゴンパチ(嶋田久作)
HEARTの隊長。41歳。隊員たちの父親といった風情で、時には厳しく時には優しく皆に接する。 事件には常に、慎重過ぎるほど慎重に対処する。 今でこそ立派な隊長だが、かつて帝都を震撼させた魔人だったということは周知の事実であろう。
フジワラ ヨウコ(村上聡美)
内閣情報室の秘書官。30歳。ヒノ隊員にセクハラ台詞を言わせる脚線美の持ち主。 が、隊員の心情を無視して高飛車にHEARTに命令する上、かなり嫌味っぽい性格でもある。 しかしHEARTに出入りする内に打ち解けてきたかだんだん人当たりが良くなっていき、最後の方では完全にHEARTの肩を持つようになる。 ちなみに彼女の上司もヤな奴ばかり。

全話リスト

タイトル登場怪獣/宇宙人
第1話「ネオス誕生」アーナガルゲ
第2話「謎のダークマター」ザム星人
第3話「海からのSOS」シーゴリアン
第4話「赤い巨人!セブン21」ノゼラ、サゾラ
第5話「見えない絆」シルドバン、バッカクーン
第6話「ザム星人の復讐」ザム星人、ザムリベンジャー
第7話「生態系の王」ロックイーター、キングバモス
第8話「蘇る地球HEART南へ!」ラフレシオン
第9話「僕らの恐竜コースター」キングダイナス
第10話「決断せよ!SX救出作戦」ギガドレッド
第11話「宇宙からの暗殺獣」グラール、ザム星人
第12話「光の戦士よ永遠に」メンシュハイト、ザム星人

ウルトラシリーズメインページに戻る
特撮のトップページに戻る