TPC極東本部に組織されていた特捜チームGUTS。 彼らは怪獣出現を予言した謎のタイムカプセルの言葉に導かれ、ティガのピラミッドを発見する。 そこには、怪獣達の脅威から人類を守るための巨人が石像となって眠っていた。 が、甦らせる方法が分からない。
そこへ怪獣ゴルザとメルバが現れ、石像を破壊していく。
GUTSのダイゴ隊員はそれを止めようとするが、彼の乗る機体はやられて墜落してしまう。
その時、タイムカプセルのメッセージの続きがダイゴの脳裏に響いた。
「巨人を甦らせる方法は…ダイゴが光となること」
ダイゴは光となって、今まさに壊されようとした最後の石像とひとつになった。 そして石像は光の巨人となって甦り、怪獣を撃退していく。
こうしてダイゴは光の巨人になる力を手に入れ、怪獣達と戦っていくのだった。 その巨人はこう呼ばれるようになった。ウルトラマンティガ、と。
最初TBSに「ウルトラマンネオス」の企画を打診していた円谷プロだが、制作費がかさむ特撮作品の放送枠は確保できなかった。 そこで円谷プロは毎日放送に別企画を提案。 毎日放送からもなかなか返事はもらえなかったが、なんとか4月になってから秋の放送枠を確保。 そこからハードスケジュールながら、一気に準備を進めて制作にこぎつける。 撮影が開始されたのは7月に入ってから。9月からの放送番組としてはギリギリのラインである。
このようにドタバタした製作事情の本作品。完成度はどうか?
まずキャストだが、主人公ダイゴとしてV6の長野博を起用。 更にGUTSのメンバーのヤズミ隊員として、ジャニーズJrの古屋暢一が出演。 …などと言うと、アイドル出演を看板にしたトホホ演技な作品かと警戒しがちだが、そんなことはない。 ダイゴの演技は立派なものだし、ヤズミの演技も…うむ、まあ、セリフがたどたどしいのは大目に見て、ね。 どんどんうまくなっていったことだし。
そしてキャストに関する話題は更に続く。 ウルトラシリーズ初の女性隊長イルマとして高樹澪が出演。 理知的で風格の有る隊長役を見せてくれた。
そしてこれは外せない。レナ役の吉本多香美。 彼女はあの、「仮面ライダーBLACK」の悪人・黒松教授役で有名な…って、そんなの有名じゃないっての! えー、彼女はあの、「ウルトラマン」のハヤタ隊員役で有名な黒部進の実の娘なのだ。 30年の時を超えて、親娘がウルトラマンに出演したというわけなのだ。
などとキャスト面での話題もさることながら、内容の方はどうか。 これがまた、スタッフが旧ウルトラシリーズを見て育った年代であるだけに、旧シリーズに負けないものをと、旧シリーズへの思い入れをたっぷりと注ぎ込んで作られているのだ。 特に、いわゆる第1期ウルトラシリーズであるところの「ウルトラマン」「ウルトラセブン」から受けている影響は多大なものがある。
GUTSの隊員構成がそれを物語っている。 武器の名手・シンジョウと、ギャグメーカーの発明家・ホリイ。 どこから見ても科学特捜隊のアラシとイデだ。 そして主人公ダイゴとレナの関係は、どこから見てもウルトラ警備隊のダンとアンヌ。
ではストーリー面はどうか。 そのクオリティは非常に高く、全体として大人が見ても充分に見ごたえのあるドラマとなっている。 しかしそれは逆に、作品のメインターゲットである低年齢児童に対しては理解しにくい話になるという危険もはらんでいる。
実際、話が難しいという苦情は相次いだ。しかしスタッフは全く妥協しなかったのだ。 おお、「ウルトラセブン」をほうふつとさせるではないか。 それでいて、ファンタジックな話や笑える話など、バラエティー豊かな話の数々。 これは「ウルトラマン」の特徴と言える。
相手が子供だからと単純な作りで対応することを良しとせず、真剣に本物のドラマを作るという姿勢で臨んだ本作。 その姿勢は視聴者にも評価され、本作は子供の間でも人気番組となっていった。 子供を馬鹿にしてはいけない。子供の本物を感じ取る感性は確かなものなのだ。
ウルトラマンとは何なのか、現れる怪獣たちは一体何者なのか。 こういったことを、原点に戻って真剣に考えた結果この作品が出来上がった。 あえて旧シリーズとは全く独立した設定で始めたこの作品には、ウルトラシリーズへの根本的問いかけと回答が詰め込まれている。
様々な意味で、全く新しいウルトラマン像を作り上げた本作品。 まさしく、平成のウルトラマン伝説の幕開けにふさわしい名作である。
そしてティガはテレビだけにとどまらず、映画としても展開していった。 後続作品のダイナ、ガイアの劇場版でのゲスト出演を経て、ついに単独主演作品が制作されたのだ。 ダイゴとレナの結婚直前の時期を描いた、「ウルトラマンティガ THE FILAL ODYSSAY」である。 ティガワールドの総決算とも言えるこの作品は、また続編のダイナへの架け橋にもなっている。 ファンは必見である。
なお、最後に忠告をひとつ。 本作を見る際には、「設定の持ち越し」に注意せねばならない。 何の説明も伏線もなく、ずいぶん前のエピソードで使った設定が再登場することがあるのだ。
例えば、第4話の被害者Aの名前が唐突に第22話に登場する。誰も覚えてないってば。 更に、その第22話のゲストキャラと第11話のゲストキャラが第47話にいきなり登場したりする。 おーい、覚えてるかなあ?
人物以外にも、様々な設定が忘れた頃に当然のように現れる。 ボケーッと見ていると全然ついていけなくなるかもしれないので、真剣に見るべし。
身長53メートル、体重4万4千トン。身長は伸縮自在で等身大でも活躍。 最大の特徴は、状況に応じて3つのタイプにチェンジすること。
まずはレッドとパープルの2色が基調のマルチタイプ。 バランスの取れたタイプで、変身直後はこの形態。 飛行速度はマッハ5。必殺技はゼペリオン光線。
そして、レッドが基調のパワータイプ。 動きは多少鈍くなるがパワーが上がる。 パワフルな重量級怪獣がよく現れたことから、このタイプはかなり多用した。 飛行速度はマッハ3。必殺技はデラシウム光流。
最後は、パープルが基調のスカイタイプ。 パワーは小さくなるが、その分俊敏になる。 軽量だが俊敏な怪獣、高速飛行怪獣などが相手の時に有効だが、そういう奴はあまり現れなかったせいもあって、ちょっと出番が少なかった。 飛行速度はマッハ7。必殺技はランバルト光弾。
ちなみにティガとはインドネシアの言葉で聖なる数字「3」を意味する。
が、元々怪獣相手など想定していなかったため、武装は貧弱だった。 そこで作中で武装強化が図られていった。
隊員たちは全員がコンパクトのような形状のPDI(Personal Digital Instrument)を装備。 作中ではビデオシーバーとしての使用が目立つが、立派な携帯型パソコンであり、各種センサーなども装備した多機能な優れものである。
また全員がGUTSハイパーという銃を装備。カートリッジの交換によって様々な機能を持たせることができる。 その他に状況に応じて携帯する武器として、DUNKショットという大口径レーザーガンや、組み立て式のGUTSライフルというのもある。
移動用に、まずはシャーロック。 2人乗りの自動車で、後部にスクロール砲を装備した武装車。 また4人乗りの4WD車、デ・ラ・ムもある。 更にオートバイ、スタッグもある。
戦闘機は、主にガッツウイング1号と2号を使用。 1号は2人乗りの小型機で、両翼から放つビーム・ニードルや、レーザーカッター・キレッタなどの武装を持つ。 2号は4人乗りの中型機。機首の超光子レーザービーム・スパル砲と、機種を左右に展開してスーパーレールガンから放つデキサスビーム砲が武器。
また第19話から、大型母艦アートデッセイ号も登場。 新開発された推進力、マキシマオーバードライブの力によって、大型ながら単体での大気圏脱出性能を備える芸術品。 ガッツウイングなどを格納可能で、大口径のデラック砲が最大の武器。
その他、マキシマオーバードライブのテスト機としてガッツウイング1号の白い改造機が登場。 マキシマの力で凄まじい推力を発揮する。 ただのチョイ役かと思ったら、最後にはスノーホワイトという名前まで付けられて登場し、結構な活躍を見せる。
第41話からはガッツウイングEX−Jも登場。2号をベースにしたカスタム機で、α号とβ号に分離する。 ちなみに前の方がβ号である。 α号は火炎放射やハイパーコールドビーム、β号はハイパーメルトガンが武器。
地底では戦車ピーパーを使用。地底で活動することが主体のため、大した武装はない。 また水中では潜航艇ドルファー202を使用。
そしてTPC全体を見てみれば、宇宙基地として宇宙ステーション・デルタや、月面にはガロワ基地が存在する。 その他にも様々な基地や装備がある、実に壮大な組織である。