ウルトラセブン 作品リスト 1

タイトル登場宇宙人/怪獣
第1話「姿なき挑戦者」クール星人
脚本 金城哲夫  特殊技術 高野宏一  監督 円谷一

『地球は狙われている。今、宇宙に漂う幾千の星から、恐るべき侵略の、魔の手が…』
人間消失事件が相次いでいた。文字通り目の前で消えてしまうのだ。 現代の人類の科学では説明できないこの現象に、地球防衛軍のエリート、ウルトラ警備隊の出動が決定される。
そしてついに地球防衛軍の隊員が消失した。フルハシとソガは消失現場に向かう。 が、変な風来坊が現れてその行く手をさえぎる。そして風来坊の制止を無視して先に進んだパトカーが消失してしまう。 風来坊は、それが地球侵略をたくらむ恐るべき宇宙人の仕業であると言う。 風来坊はモロボシダンと名乗った。
見えない円盤の攻撃を受けたフルハシとソガ。彼らはダンとともに基地に撤退する。 そして防衛軍基地に、標本として集めた人々を人質としてクール星人からの降伏勧告がなされる。 それを断る防衛軍だが、するとクール星人の円盤は京浜工業地帯への攻撃を開始した。
円盤が見えない上に人質まで取られているので、手も足も出ない地球防衛軍。 だがダンの提案で、特殊噴霧装置を使い円盤を見えるようにして攻撃する作戦が開始されることになる。
ダンは臨時隊員として作戦に参加する。そしてホーク1号が出撃して作戦を実行し、円盤に色を付けることに成功する。 だが岩山に隠れた円盤はホーク1号を撃墜する。不時着したホーク1号の中でただ一人目覚めたダン。
彼は外に出て、謎のカプセルを放り投げる。すると怪獣ウインダムが現れる。 ウインダムは襲い来る小型円盤群を迎撃する。が、旗色が悪くなり、ダンはウインダムをカプセルに戻す。 そしてダンは変身する。ウルトラセブンへと!
円盤に侵入したセブンはクール星人をアイスラッガーで倒し、囚われていた人々を解放する。 そして円盤を宇宙に運び去り、爆発させる。
事件は解決した。この事件での功績を認められたモロボシダンは、新たなウルトラ警備隊の隊員として迎え入れられたのだった。

さすが第1話、藤田進、平田昭彦、佐原健二と東宝特撮の重鎮が勢ぞろい。やってくれるねぇ。 もっとも初期ウルトラ作品と東宝特撮俳優は切っても切れない仲だけど。
さあそしてモロボシダンの登場シーン。 彼にポインターの行く手をさえぎられたフルハシとソガ、煙幕を張ってダンを追っ払おうとする。 …っておい。一般人を脅かすとは、それでもウルトラ警備隊の隊員かぁ!
しかしそんなことより凄いのが、ダンが名乗る有名な(?)シーン。
「名前…? そう、モロボシダンとでもしておきましょう」
…そんな怪しい名乗り方した奴、普通は誰も信用しないってば。 大体戸籍もない奴がなぜウルトラ警備隊などという厳しい身元調査をしそうな組織に入れるのだ? よりによって宇宙人をウルトラ警備隊に入れるなんて大問題ではなかろうか。
…まあそれはともかく。今回は第1話ということで、重要なのが各種設定を視聴者に理解させるということ。 そこで冒頭ではウルトラ警備隊の隊員達の紹介なんかがなされている。 またそれ以外にもウルトラホークなども紹介しておきたいところだが、今回は1号のみ。 まあホーク1号の合体分離をしっかり見せているので、とりあえず1回目としてはこれで良し、か。
またセブン自身に関わる設定も見せておかないといけない。 ということでカプセル怪獣ウインダムが登場するわけだが、ここでダンがウインダムを放つ必然性は全然なくて、顔見せとしてはちょっと強引。
そしてもうひとつ注目すべきは変身シーン。 我々がよく知っている変身は、ウルトラアイを指で持って目に装着するというものだが、今回はダンがジャンプすると目にウルトラアイが装着されるという、なんと最初に変則パターンが用いられている。 だが今後の話を見ていくと分かるのだが、結構先まで変身パターンは確立しない。 どうすればカッコ良く見えるかという辺りで色々と模索していたのだと思われる。 このパターンの変遷は、話を制作順に見ていくとよく分かる。ちなみに今回は制作第5話である。
それから、セブンとクール星人との戦いが全く盛り上がらない。そもそも吊り人形と戦うというのが強引すぎるわけで、一瞬で決着が着くのも道理かな。 まあそれでも、ウルトラビームとアイスラッガーが見られるし、一応セブンは等身大&巨大化するし、セブンを見せるという意味ではさほど悪くもないか。 盛り上がらない戦いも、ある意味セブンらしいと言えるわけだし。
それから更にもっと驚くべきことに、このダンが変身した超人は何者なのかという説明は一切ない。なんとウルトラセブンという名すら出てこないのだ。 しかし説明しようにも時間が足りない、というのがその理由だろう。ウルトラマンの続編ということで、説明はなくても視聴者は最初から理解しているわけだし。 この説明はなんと第17話まで待たなければ知ることができない。
が、名前に関しては、実は脚本上では最後にセブンの命名シーンが存在する。 ウルトラ警備隊で新隊員ダンを紹介した後で、謎のヒーローは7人目の隊員と思ってウルトラセブンと呼ぼう、というようなシーンである。 うーむ、ウインダムの出番を削ってこのシーンを入れた方が良かったかもしれない。
しかしセブンが何者かということを全く語らず続けていくのは、少しミステリアスな感じがしていいかもしれない。 少なくとも、いいか悪いか分からないが、異色な展開で目を引くことは確かだ。
第2話「緑の恐怖」ワイアール星人
脚本 金城哲夫  特殊技術 高野宏一  監督 野長瀬三摩地

宇宙ステーションV3の石黒隊員が、1週間の休暇をもらって地上に帰ってきた。 しかしその日石黒家の庭には、巨大な隕石のようなものが出現していた。 石黒隊員を送ってきたダンはその物質を見て、ワイアール星にしかない金属・チルソナイト808であることに気づいて不審を抱く。
そしてその晩、石黒家の近所で人間が怪物と化す事件が起きる。怪物化を目の当たりにしたダンとアンヌ。 そして事件はその後も連続し、ウルトラ警備隊は警戒を強化する。
一方、石黒家に現れた謎の物体はウルトラ警備隊に運ばれ分析されようとしていたが、傷ひとつつけられなかった。 そのとき、石黒家の家政婦からダンに連絡が入る。石黒隊員の机の引出しから妙な音が聞こえるというのだ。
調査に行ったダンとアンヌはそこで、あの物体と同じ金属でできた小さな物体を発見する。 ダンはハンマーでそれを壊す。するとその頃ウルトラ警備隊では、全く歯が立たなかった物体が割れて崩れていった。 なんとその中には、石黒隊員がいた。
一方、宇宙から帰ったきたニセの石黒隊員は妻と共に箱根行きの電車の中にいた。 だが男はついに正体を現してしまう。地球人を仲間に変えていた、ワイアール星人へと。
電車を追ったダンとアンヌは石黒の妻を救い出すが、ワイアール星人は巨大化して暴れ始める。 そして逃げ遅れた人を救いに行ったダンはウルトラセブンに変身する。 セブンはアイスラッガーでワイアール星人を真っ二つにし、エメリウム光線でとどめをさす。
本物の石黒隊員は無事であり、そして怪物化していた人達も元に戻った。かくして平和が戻ってきたのである。

ワイアール星人が持ちこんだ金属、チルソナイト808。 チルソナイトと言えば、「ウルトラQ」のガラモンと縁の深い金属だ。 しかしワイアール星人とガラモンというのも変な取り合わせ。単に名前が同じだけか。 ちなみにガラモンの話の脚本は、この話と同じく金城哲夫。
そして今回早くも名前が登場する宇宙ステーションV3。 地球防衛軍のテリトリーの広さを認識させると共に、後に登場するクラタの拠点でもあるので要チェックだ。
ところで冒頭、ダンは差し当たって事件もないということで隊長に許可をもらってポインターで石黒隊員を送る。 やっぱりウルトラ警備隊は普段は暇なんだね。 また、アンヌがダンにくっついていくような形で、二人が早速コンビで行動している。最初から二人をくっつける意図があったみたい。
そしてダンの変身。ウルトラアイを手のひらに持っているのと、「デュワッ!」の声がないのが通常パターンと異なるところ。 この話は制作第2話。制作は第3話と同時進行だったので、第3話でも変身シーンは今回と同じになっている。
と、そう言えば、今回は何の説明もなく「ウルトラセブン」の名が呼ばれている。 まあ第1話で命名される予定だったからなんだろうが、そのセブン命名シーンが無かったために、唐突になぜそんな名前で呼ぶのだ?という感じがする。
ところで最後に警視庁から警備隊に送られてきた通信なのだが、
「ウルトラ警備隊の活躍に感謝する」
…って、おーい。ウルトラ警備隊はほとんど何もしとらんぞ。と思ったら、
「了解!…このセリフはウルトラセブンに言ってもらいたいな」
とキリヤマ隊長。うむ、ちゃんと自分達の立場を分かっている。
第3話「湖のひみつ」ピット星人エレキング
脚本 金城哲夫  特殊技術 高野宏一  監督 野長瀬三摩地

木曽谷に巨大な物体が落下したとの知らせを受け、ダンとフルハシは現場へ飛んだ。 発見したそれは巨大な円盤だった。ダンとフルハシは内部に侵入する。 その中で、近くの川で泳いでいた少女が隠れて遊んでいた。だがダンは、少女が自分達より先にその円盤にたどりついていたことを内心怪しむ。
そして円盤は敵の罠だった。突如ガスが発生し、みんな気を失ってしまう。 朦朧とする意識の中、ダンは自分に迫る怪しい影を感じ取っていた。影はダンの懐からウルトラアイを盗み取ってしまう。 ダンは単独行動を取って敵を捜し求める。
そして円盤を張り込んでいたダンは、円盤に近づこうとしたあの少女に気付く。 だがあの少女は、ウルトラ警備隊に運ばれて介抱されているのだ。ダンは少女を追うが、少女は消えてしまう。 少女は円盤の中に入り込んでいた。そして少女はエレキングを呼び出す。
湖から怪獣エレキングが姿を現した。ダンは本部に連絡を取ろうとするが、ビデオシーバーが通じない。 ダンはカプセル怪獣ミクラスを放つ。
一方、怪獣出現の報を受けたウルトラ警備隊はホーク1号で出撃する。 だがその隙に、警備隊にいた少女はアンヌの首を絞めて脱走する。
戦うミクラスとエレキング。ミクラスの怪力は一時はエレキングを圧倒したが、エレキングの電撃の前にミクラスは敗れる。 そしてホーク1号が到着するが、攻撃を受けて不時着してしまう。
一方、警備隊にいた少女は司令室を破壊し、ホーク2号で脱出する。 だがその頃ダンは、円盤でエレキングを操っていた少女からウルトラアイを取り戻し、セブンに変身してエレキングと対決していた。 セブンはエレキングの角を破壊し、アイスラッガーでエレキングをバラバラにする。
一方円盤は、二人の少女、いやピット星人を乗せて宇宙に逃げようとしていたが、追いついたセブンによって破壊されたのだった。

制作第1話。さすが最初に作られるだけあって、設定の説明という意味では基本的な見せ場が全部揃っている。第1話より充実しているのだ。 ウルトラホーク1号、2号、3号の発進シーン。更にダンのウルトラアイが盗まれるというお約束。 そういう説得力あふれる状況で登場するカプセル怪獣、ミクラス。エレキングとミクラスの死闘。 そしてエレキングとセブンの激しい戦闘。 そういう意味では今回を第1話にしたいくらいだが、そういうわけにもいかんか。
さて巨大な物体が落下したとの知らせを受けて調査し、円盤を見つけたダンとフルハシ。フルハシが武器を点検しようと提案して言うには、
「まだ見ぬ敵だからな」
…って、まだ敵かどうか分からんだろうが。まあ確率的には正しい考えかもしれんし、実際そうなんだけど、危ない考え方だなあ。
そしてその円盤の主であるピット星人。まんまと防衛軍に侵入して司令室を破壊するのだが、なんと計器類に触っただけで機械がブッ壊れてしまう。 それはピット星人の超能力なのかもしれないが、見てる限りはボロい機械が勝手に壊れているようにしか見えない。もう少しいい見せ方はないものかなあ。
さて今回登場するエレキングは、セブンに登場する怪獣の中でもトップクラスの人気者。 と言うか、セブンには怪獣があんまり出ないんだけど、まあそれを差し引いてもデザイン的にも秀逸で、実に見事なものだ。 白い体が実に美しい。…が、湖から出てきた時はともかく、地上で戦ってると土まみれになってどんどん色が汚くなっていく。うっうっ、なんかヤだ。
さて、そのエレキング出現の知らせを受けて、しかもダンとの連絡が取れないので出撃したホーク1号。だがエレキングを発見してフルハシいわく、
「あ、なんだありゃ」
「こっちに向かってくるぞ!」
そして驚く面々。…ってちょっと。あんた達、大怪獣出現の知らせを受けて出撃したんじゃなかったの? そこで言うべきセリフは「いたぞ!怪獣発見!」とかいうものでは? ま、まさかダンを探しに行くつもりになってて怪獣のことをすっかり忘れていたとか…。
第4話「マックス号応答せよ」ゴドラ星人
脚本 山田正弘、金城哲夫  特殊技術 有川貞昌  監督 満田かずほ
(注 : 満田監督の名前は本当は平仮名ではなく「禾斉」という字である)


アマギとソガは極秘指令を受けて原子力潜水艦マックス号へと向かう。 二人を送ったダンは帰る途中で車が故障した女性と出くわすが、故障を見てあげようとするとその女性は突如ダンに殴りかかり、ウルトラアイを奪って逃げてしまう。
一方、マックス号でアマギとソガを待っていたのはタケナカ参謀だった。 タケナカ参謀は、ある地点で相次いで船が行方不明になったことを告げ、その事件の背後にいるのが何者かをつきとめるのが今回の任務だと語る。 そして問題の地点に着いたマックス号。が、マックス号は突如空中に浮かび上がり、赤い霧に呑まれて消えてしまう。
消息を絶ったマックス号を探すべく、ホーク1号と2号が飛び発つ。やがてフルハシのホーク2号は宇宙に漂うマックス号を発見する。 マックス号に乗り込むフルハシ。彼はタケナカ参謀たちを無事に発見するが、そこにゴドラ星人が現れる。 この事件はゴドラ星人の陽動作戦だったのだ。
やがてホーク2号が地球に帰還する。だがダンは帰ってきたのがフルハシ隊員ではないと感じ、彼を尾行する。 果たしてそれはゴドラ星人の変身だった。ゴドラ星人はダンをカプセルに閉じ込め、原子炉に爆弾を仕掛ける。
マックス号に囚われた面々は原子炉の件を知らされ、ゴドラ星人の追撃を振り切りアマギが乗った観測用ロケットを発射した。 ロケットはかろうじて地球にたどり着くが、アマギはゴドラ星人の攻撃を受けて重傷で、話すどころではない。
一方、カプセルから脱出しようともがくダンの前に、あの女が現れる。そしてアンヌからもらったペンダントのおかげでダンはカプセルから脱出する。 女は防衛軍と運命を共にすべく派遣されたゴドラ星人だった。その隙をついてウルトラアイを取り戻したダンは、セブンに変身してゴドラ星人に立ち向かう。
ようやく目覚めたアマギは隊長に爆弾のことを告げる。そしてセブンがゴドラ星人を押さえている内に爆弾は解除された。セブンは更に、アンヌをさらって逃げようとしたゴドラ星人を追う。 巨大化してセブンと戦うゴドラ星人。だがゴドラ星人はエメリウム光線で倒される。
更に宇宙に飛んだセブン。セブンはゴドラ星人が占拠したマックス号に乗り込み、残った乗組員を救出して爆弾でマックス号を爆破する。 こうしてゴドラ星人の野望はついえたのである。

BGMとして、あの英語の歌詞がなんともおしゃれな"ULTRA SEVEN"が初登場。 この作品の洗練されたイメージを印象付けるのに大きく貢献しているのは言うまでもない。
しかしダン自身はあまり洗練されていない。確かにフルハシが偽者だと見破る鋭さはあるものの、前回に続いて今回もあっけなくウルトラアイを盗まれている。 全く女性に甘いんだから。
そしてその前のことだけど、マックス号を見て、かっこいいなあ、一度は乗ってみたかった、と目を輝かせたりする。なんかダンって時々、妙に子供っぽいところを見せるんだよね。 まるで、初めて地球に来て色々なものを初めて見る宇宙人みたい。…って、その通りやがな。 でもこういうところがあるからダンってなんだか親しみやすいんだなあ。
さあ注目の(?)セブンの変身シーン。制作第4話となる今回は、早くもウルトラアイを指で持って目に装着するというおなじみのパターン。 だが、「デュワッ!」の声はない。次は第1話の変則パターンになるし、色々と試行錯誤している過程なのね。 確かに、慣れてしまった今ではいつものパターンの方がいいと思うけど、メガネをかけるような仕草で変身するのがいいかどうかという議論はあるだろうなあ。
そしてもうひとつ押さえておきたいポイント。今回はどちらかと言うと等身大で活躍するセブン。 こういうところがセブンの特徴でもあるのだが、更にセブンがウルトラ警備隊の面々と話をしているのに注目。 得体の知れない謎の巨大超人だったウルトラマンとは違い、セブンはそういう親しみやすい存在なのだ。
ちなみに声はもちろんダンのものなのだが、誰も気付いていないみたい。まあ多少エフェクトがかかってる声だし、まさかウルトラセブンが知り合いの人間が変身した姿だなんて考えもしないから、気付かないかな普通は。
そしてダンに化けていたゴドラ星人の行く手に立ちはだかるセブン。ニセのダンにアイスラッガーを放つ! …が、アイスラッガーをまともに額に受けても、ニセのダンは痛そうにしてるだけ。傷もついてない。ど、どうして? さてはセブン、偽者とは言え自分の顔だから、その凛々しい顔を傷ものにしたくなかったということか。…ってホンマかいな。

続きを読む
ウルトラセブンのメインページに戻る
ウルトラシリーズメインページに戻る
特撮のトップページに戻る