| タイトル | 登場宇宙人/怪獣 |
第29話 | 「ひとりぼっちの地球人」 | プロテ星人 |
脚本 市川森一 特殊技術 高野宏一 監督 満田かずほ
城南大学の主導で科学観測衛星が打ち上げられた。
だが、その衛星に不審を持ったウルトラ警備隊が調べたところ、衛星は地球の科学を遥かに超えた技術で作られており、また作った仁羽教授は偽者だった。
警備隊は、教授が宇宙人ではないかと考え直接大学に乗りこんだ。
ソガは婚約者で城南大学生の南部冴子の協力を仰ぎ、教授の助手の一の宮を助けようとする。
が、一の宮は教授が宇宙人であることを知っていた。そうと知って、自分の物質電送機の研究を唯一認めてくれた教授に協力していたのだ。
一方ソガは、仁羽教授ことプロテ星人を問い詰めていたが、逆にやられてしまう。
そして記憶を探知され、地球防衛軍の情報を盗まれてしまう。
一の宮はプロテ星からの迎えが来ると知って喜ぶが、プロテ星人の真意が地球侵略であると知ってそれを阻止しようとする。
あれほど地球を軽蔑し脱出したがっていた男が…。プロテ星人は正体を現して一の宮を殺そうとする。
そこに駆けつけたダン。襲われたダンはセブンに変身してプロテ星人を迎え撃つ。
闇にまぎれて神出鬼没のプロテ星人の幻覚に惑わされるセブン。
だが本物のプロテ星人は既に逃げ出しており、仁羽教授の姿に戻って電送機で逃走しようとする。
そこへ起き上がった一の宮が飛びこんでくる。電送機は二人一度には転送出来ない。電送機は二人もろとも爆発し、プロテ星人の幻術は破れた。
セブンはすぐさま宇宙に飛んだ。プロテ星人の円盤が、地球防衛軍のデータを満載した衛星を回収しようとしているのだ。
セブンは衛星を取り戻し、円盤はホーク2号によって破壊されたのだった。
今回の舞台は、あの有名な城南大学。天才本郷猛を始めとして、様々な特撮関係者の出身校だ。
…なのだけど、いきなり冒頭、日曜日の午後に人影の無い城南大学…だって。
おい! そりゃ、講義を受けてる学生がいないのは分かるけど、城南大学ほどの大学なら、日曜でも研究室あたりは活気にあふれているんじゃないのかぁ!
うーむ、この城南大学、本郷猛が出たところほど凄い城南大学ではないのだろーか?
などと言いつつ、なぜか英文科の学部生がそんな時に構内をうろついてたりする。何してたの?
ま、それはともかく、実はこの人こそソガの婚約者、南部冴子嬢なのだ。現在、英文科の2年生!
…え? 2年生? ひょ、ひょっとしてヘタすりゃ未成年なのでは? それで婚約者?
うう、気が早いのう。婚約なんて言うのは卒業してからでも良さそうな気がするが。
で、ようやく話の内容に。今回の主役は一の宮なんだけど、もう少し彼のキャラ描写が入ってた方が良かったね。
一応セリフでは彼が孤独な科学者だったことが語られるんだけど、それだけでは押しが弱い。
まあ、プロテ星人とセブンの戦いなんていう、ストーリーと何の関係もないシーン(おい!)を入れなきゃならないのがこの作品の宿命。
その分だけドラマの掘り下げを浅くせざるを得ないんだから、しようがないとも言えるんだけど。
ところでラストシーン。衛星をかっぱらって逃げようとした円盤をホーク2号が見事撃破するんだが、相手の円盤は全く攻撃を仕掛けてないんだよね。
セブンに衛星を取られても、なんかマヌケっぽくひたすらセブンを追いかけてきただけという感じ。ひょっとして武装の無い円盤だったのかもしれない。
そこへ問答無用でホーク2号が一撃! ん…今更言うまでもないけど、これがウルトラ警備隊なのね。ううむ。
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第30話 | 「栄光は誰れのために」 | プラチク星人 |
脚本 藤川桂介 特殊技術 的場徹 監督 鈴木俊継
地球防衛軍の野戦訓練が行なわれることになった。
はりきるウルトラ警備隊の面々だが、その前に自信たっぷりの青木隊員が現れる。彼は将来ウルトラ警備隊に入るかもしれない男だという。
彼は訓練と知りながら、ニセの敵機であるダンとキリヤマ隊長の乗った機を撃墜しようとするほどだった。
そして謎の地震の調査でも、先走った彼は謎のタンクに独断で攻撃を加え、しかもその存在を自分だけの秘密にしてしまった。
謎の地震に不安は残るが、野戦訓練は予定通り行われることになった。だが青木は訓練に使うマグマライザーに発信機を仕掛けた。
敵がその発信機に引かれてマグマライザーを襲えば、それを倒すことで手柄を立てようというのだ。
が、野戦訓練当日、ダンと青木が調査に到着するより早く、マグマライザーは襲撃され奪取された。
そしてマグマライザーが遠隔操縦する訓練用の戦車部隊が実弾で攻撃を始めた。更に、謎のタンクが現れてウルトラ警備隊は挟み撃ちになる。
マグマライザーを奪い返して退路を確保するしか道はない。青木はまたも志願して、ついて来たダンを置いて独走しようとする。
が、青木は攻撃を受けて重傷を負う。一方でダンはマグマライザーへの侵入に成功するが、プラチク星人の襲撃を受ける。ダンはセブンに変身する。
セブンはプラチク星人の狡猾さの前に一度はプラスチック液で硬化させられてしまうが、すぐに復活。
タンクを破壊して再びプラチク星人を引きずり出す。そして激闘の末、セブンのウルトラビームがプラチク星人の身を焼き尽くした。
ダンに助け起こされた青木。青木は自らの過ちを悔い、骨だけになっても襲い来るプラチク星人を倒した後、息を引き取ったのだった。
何かと鼻息が荒く、独走する青木隊員を演じるのは仮面ライダーV3のライダーマンで有名な山口暁。
今回は青木が血気盛んな分、ウルトラ警備隊の面々が珍しく思慮深くお行儀良く見えてしまう異色のエピソード(ぉぃ)となった。
結局のところ青木の死は自業自得で、だから何なのと言いたくなる話ではあるんだけど、別のところに視点を移せば得られるものがないでもない。
それは、青木の独走ぶりは一言で言えば「フッ、青いな」で済むんだけど、そういうルール無視の部分をウルトラ警備隊と対比させることで、武闘派集団ウルトラ警備隊が軍隊としての規律をしっかり持っていることが改めて分かるとも言えるということだ。
規律は重要ですね、うん。
ところでセブンとプラチク星人の戦い。
はりきって戦うのはいいんだけど、しばらく画面の向こうで戦った後、なぜか両者とも疲労の極致といった雰囲気で現れて地面にはいつくばる。
セブンが立ち上がれないほど疲れるなんて珍しい。
これ見よがしに点滅するビームランプがアップになったりしてるけど、画面に見えないところでどんな攻防が繰り広げられたのやら。
これはもしや最終回への伏線か!? …んなわけないか。
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第31話 | 「悪魔の住む花」 | ダリー |
脚本 上原正三 特殊技術 的場徹 監督 鈴木俊継
香織という女の子が突如花園で倒れて病院にかつぎ込まれた。
特別な血液型であるためアマギが輸血に駆り出され、またダンも症状が不審であるため同行した。
血液中の血小板が消失しているが原因不明だという。そしてその晩、香織は病室から姿を消し、さまよい歩いていた。
香織は病院に保管されていた血液を狙い、またアマギをも襲う。
アマギと香織は防衛軍基地に移された。香織が匂いをかいでいた花びらを調べたところ、それは宇宙細菌ダリーの卵の殻だと分かった。
ダリーが血を吸っているため、彼女は吸血鬼と化してしまったのだ。そして香織は監視のフルハシの目を盗み逃げ出す。
彼女の狙いはアマギだった。ダン達は二人の後を追う。
遊園地で二人を発見したダン達。なんとか二人を保護するが、香織の衰弱はひどく治療の手段も無かった。
アマギは自らの血を全て差し出そうとするが、それも無駄な話だった。暗い顔に包まれる皆。
しかしダンにはひとつだけ方法があった。ミクロ化して香織の体内に入り、直接ダリーを倒すという方法が。
だがそれは、広大な宇宙と同じほど未知の領域である人体に挑むという危険な賭けだった。
しかしダンは決意を固め、変身して香織の体内に侵入する。
セブンは異物を排除しようとする人体の力に苦しめられるが、なんとかダリーの巣食う肺にたどり着く。
だがエネルギー消耗が激しいセブンはダリーに苦戦する。しかしそこで医者が打った注射が功を奏し、セブンは逆転してダリーを倒すことに成功した。
目覚めた香織。すっかり元通りになったが、香織は何も覚えていなかった。アマギの顔さえも…。
香織を演じるのはご存知、子役時代の松坂慶子。そういう点で今回は一番よく一般に知られたエピソードかもしれない。
口から怪しげな光線(?)を吐いて隊員たちを倒すシーンはよくテレビの特番なんかで放映されたのでおなじみかも。
そして彼女が吸血鬼になったという疑いが出た時、ダンが密かに思った一言。
「こんな美しい顔で血を吸うわけがない」
いやー、凄い偏見ですね。なんつーかダンという奴は、妙に女性に甘いんだよね。
ウルトラアイを盗まれるときなんかも相手は女性ばっかりだし。まあそういうところもダンの魅力なんだろうな。
しかし女にデレデレするばかりがダンではない。なんと一見花びらのような宇宙細菌ダリーの卵の殻。
…ってダリーの卵の殻にしてはやけに大きいけどそれはさておき。
それを調べるきっかけとなったのは、ダンがそれを初めて見た時にどこかで見たことがあると不審に思ったからなのだ。
いやー、ウルトラセブンは博学ですねえ。宇宙をあちこち旅して、色々なことを知ってるんでしょうねえ。
恒点観測員というのは、そういう物知りになれる職業なんですねえ。
で、物知りはいいんだけど、今回のセブンの戦いはちょっと変。セブンはダリーに苦戦したと言うよりは、人体の抵抗力の前に苦戦したのだ。
さすがに入るのをためらっていただけのことはあるんだけど、セブンはバイ菌なんかと大差ない力しかないのかと思うと、人体の神秘に驚嘆する以上にセブンがちょっと情けなく感じてしまうのでした。うむむ。
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第32話 | 「散歩する惑星」 | リッガー |
脚本 山田正弘、上原正三 特殊技術 高野宏一 監督 野長瀬三摩地
謎の小惑星が地球に接近してきていた。パトロールに出たホーク1号は、空飛ぶ島が来るという通信を残して消息を絶った。
そしてホークに乗っていたダン達が気付くと、そこはその小惑星の上だった。そこでダン達は基地らしきものを見つけ乗りこんでみるが、そこは無人で中に閉じ込められてしまう。
一方、地球に降り立った小惑星が放つ強力な電磁波のために地球防衛軍の機能は麻痺してしまっていた。
キリヤマ隊長達はダン達の捜索を兼ねて、小惑星の調査に赴く。が、電磁バリアのために近づくこともできない。
そして小惑星は防衛軍基地へ接近しつつあった。マナベ参謀は現在唯一使える兵器、新型ミサイル・キリーの発射準備を進める。
なんとか小惑星の基地から抜け出したダン達。だがホークは電磁波のために飛びたてない。ダンは電磁波を止めるために小惑星の動力源を破壊しに向かう。
が、そこに怪獣リッガーが出現。ダンは変身しようとするが、電磁波のために変身できない。
そして応戦したフルハシとアマギがピンチに陥る。ダンはカプセル怪獣アギラを放つ。
アギラがリッガーと戦っている間に、ダンは基地を爆破する。が、アギラの旗色が悪い。
そして電磁波は止まったものの、惑星自体の動きは止まらない。フルハシからの通信を受け、ウルトラ警備隊はキリーの発射を決定する。
しかしやがて爆風で気絶していたダンは目覚め、アギラをカプセルに戻して変身する。
セブンの出現を見たマナベ参謀はキリーの発射を一時中止する。そしてキリヤマ隊長達がフルハシ達の救出に向かう。
また激闘の末、セブンはアイスラッガーでリッガーの首を切断する。
そして、セブンはリッガーの首から誘導電波が放たれていることに気付き、首を持って飛び立つ。
小惑星はリッガーの首を追って飛び立ち、やがて小惑星の時限爆弾が爆発したのだった。
今回は得体の知れない敵が登場…というか登場しないというか。
実のところ小惑星が何をしにきたのか何一つ明確にはなっていない不気味な話で、ウルトラ警備隊が勝手にその目的を解釈して行動するという変なことになっている。
しかもその解釈は結構短絡的で、被害妄想的というか最悪の事態を想定しているというかそんなところなんだが、結局のところその解釈は当たってしまうんだからまあウルトラ警備隊の発想を責めるわけにもいかんか。
例えば惑星に爆弾が仕掛けられているというのは元はと言えばダンの想像でしかなかったんだけど、いつの間にか爆弾が仕掛けられているというのが確証を得た事実であるかのようになっている。
しかし実際に爆弾が仕掛けられていて爆発するんだからねえ。さすがウルトラ警備隊、とほめておくべきか。うむむ。
そんな調子で被害妄想的発想が実は的確だったりするんだから、過激派集団になるのもやむを得ないか。
そう、またしても例によって、小惑星の上にダン達がいるのに、ミサイルを撃とうとあっさり言うマナベ参謀。
で、残ったウルトラ警備隊の面々も、葛藤は結構あっさりとしたもので、ミサイル発射を認めてしまう。
まあこれくらい非情に徹しないと、地球防衛なんぞやっとられんということですな。ああ恐い。
更に最後、またしても例によってダンが行方不明なのにダンを置いて小惑星を脱出する面々。
まあこれは自分達が生き残るためにはしようがないんだけど、ダンがセブンだからいいようなものの、普通ならダンは何回置き去りにされて死んでることか。
うーん、地球防衛は、小を殺して大を生かす、非情に徹して行なわないといけないのですな。
やっぱりセブンは名作だなあ。御都合主義を廃してその現実を生々しく描いているんだから。…って、そうなの?
まあしかし、今回も非情の掟を感じさせるウルトラ警備隊の行動に戦慄を覚える一方、初登場となったアギラのなんとなくマヌケな戦いぶりに心安らぐものを感じるのでした。
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