が、そこに謎の物体・スフィアが襲来。無機物を怪獣化し、火星基地を襲った。 対するは、TPCが誇るスーパーGUTS。
だが、スーパーGUTSは劣勢を強いられる。しかも、ウルトラマンティガはもういないのだ。 基地は崩壊の危機に瀕していた。
その時、怪獣に突進していったスーパーGUTSの新米隊員アスカ・シンは、光に包まれた。 そして彼は、光の巨人へと変身する。 ウルトラマンティガ…? いや違う。しかし、彼もウルトラマンだ!
そのウルトラマンは無敵の強さで怪獣を粉砕する。彼は、ウルトラマンダイナと名付けられた。
俺が光の巨人…? アスカは突如自分に備わった力に困惑しながらも、常に前に向かって突き進む不屈の闘志で数々の事件に立ち向かっていくのである。
しかし本作は多大なプレッシャーの元に生まれることとなった。 前作の「ウルトラマンティガ」が、初期のウルトラシリーズを上回るかと思われるほどの屈指の名ドラマを展開したからである。 ウルトラシリーズに対する思い入れをスタッフが思い切りぶつけた前作。 だが、その次には何をぶつければいいのか? こういうパターンで続編が作られると、駄作になりましたという結末が目に浮かぶようだ。
が、そんな考えはウルトラシリーズを見くびっているというものである。 前作で描いたことを、スタッフは必要な部分だけ抽出して後は捨てた。 そして見事に新たなるウルトラマンを作り上げたのである。
「ウルトラマンティガ」は言わば、第1期ウルトラシリーズ・(「ウルトラQ」)「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の再生であった。 ならばこのダイナは何か? それは当然のように、第2期ウルトラシリーズ・「帰ってきたウルトラマン」〜「ウルトラマンレオ」の再生だったのだ。
しかし第2期ウルトラシリーズの特徴と言うと、子供向けのためドラマ性が希薄になり説得力のないストーリーが展開される、といったことが思い浮かぶ。 じゃあダイナもそういう子供向けの、大人が見るにはキツい作品なのか?
ところが違う。スタッフは第2期ウルトラシリーズから、必要な部分だけ抽出して後は捨てたのだ。 それは何か? 第2期ウルトラシリーズは確かに大人の鑑賞に堪えうるドラマ性は薄れていったが、代わりに第1期シリーズでは考えられなかった破天荒な面白さを持っていた。 それは「ウルトラマンタロウ」あたりで最高潮に達する、とにかく面白い画面を作ろうとする精神だ。 その精神をダイナは受け継いだ。
前作ティガは名作にはなったが、ストーリーが難しいとの批判も相次いでいた。 子供が理解するにはキツい作品だったのだ。しかしダイナは違う。 大人の鑑賞にも耐えられる説得力のあるストーリー展開ぶりを前作から継承しつつ、かつ子供でも理解しやすいようなシンプルな話の構造を保ち、見た目にも非常に分かりやすく面白いものをと心がけて作られている。 じっくりストーリーを追わなくても、見ているだけで楽しめるものになっているのだ。 言わば、ティガが理性に訴え考えさせる作品だったのに対して、ダイナはストレートに感情に訴える作品にするという路線を歩んだのだ。
そして完成したのは、陳腐な言い方ではあるが、涙あり笑いあり、の娯楽作品。 第2期ウルトラシリーズの自由な雰囲気を継承し、ティガでは考えられなかった話が連発される。
第8話のバオーン、第12話のヒマラ、第13話と第30話のミジー星人&ガラオンなど、単純に笑える変な敵が続々と出現。 かと思えば、第20話・第41話・第48話といった、感動ものの話もある。 更に究極とも言えるのが第42話。こんな凄まじい話はダイナでなければ不可能!と思える大傑作に仕上がっている。
更にBGMに関して言っておくと、あの「帰ってきたウルトラマン」で有名になったワンダバが復活しているのにも注目。 この曲はBGM専用の曲ではなく、元はスーパーGUTSのテーマソング、「Take off!! スーパーGUTS」。 だからスーパーGUTSの出撃時には何かにつけてワンダバが流れてきて、もうひたすら燃えてくるぞ。 要チェックだ。
またそのスーパーGUTSの隊員の面々にも注目したい。 前作のGUTSの面々はスタンダードにキャラクターの差別化が行なわれて普通に隊員をしていたが、スーパーGUTSは一味違う。 まず主人公からして、ウルトラヒーローらしく真面目な性格だったダイゴに代わって現れたのは、ムチャクチャな一直線熱血バカのアスカ。
そしてそんな彼を支える他のメンバー。 GUTSの理知的な隊長・イルマに代わって登場したのは、親分肌の熱血隊長・ヒビキだ。 そのヒビキが率いる他の隊員達は、それぞれ個性豊かではあるのだが、いざとなると隊長に負けず劣らず揃いも揃って熱血する。 一番静かで知的そうなカリヤですら皆と一緒になって燃え上がるのだ。 何かにつけて感情に任せて突っ走りやすい、こういうところにも、理性のティガと感情のダイナの違いが明確に表れている。
しかしこういったことは単なる差別化というわけではなく、作品のテーマとも密接に関わっている。 ネオフロンティア時代、人が前へ前へと進んでいく限り、人の未来は開かれていく。 彼らは未来へ向かって突き進むために一丸となって燃え上がり、敵に立ち向かうのだ。 その精神こそが、まさしくダイナミックのダイナなのだ。
知的にまとめられたティガに対して、あり余るパワーをぶつけ続けたダイナ。 ティガと同じ世界でありながら、本作をティガと同列に比較するのはナンセンスであることはもはや明白だろう。 ティガの雰囲気は一旦忘れて、このバイタリティ溢れる作品を堪能して頂きたい。
また、本作には劇場版が存在する。98年春に公開された「ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち」である。 ティガとダイナが競演する、まさに映画ならではの話だ。 が、この映画は単なるスペシャル版の番外編エピソードではなく、テレビ版本編に密接に関わってくるので要注意。
なお、前作ではGUTSのメンバーのキャスティングが結構話題になったが、今回のスーパーGUTSのキャスティングも負けず劣らず話題性が高い。 詳しくは登場人物紹介を参照のこと。
身長55メートル、体重4万5千トン。ティガと同様に、等身大で活躍したり3タイプにチェンジしたりする。
基本となるのはレッドとブルーのフラッシュタイプ。 バランスの取れたタイプで、必殺技はソルジェント光線。そのポーズはスペシウム光線と同じだぁっ! また、ウルトラスラッシュも使えるぞ。 そして、初代ウルトラマンを思わせる腰を落とした姿勢で敵と相対する。
ブルーのミラクルタイプは超能力戦士。格闘戦には向かないが、超高速移動や分身などの様々な能力を持つ。 必殺技はレボリウムウェーブ。圧縮した空間をぶつけて敵を消滅させてしまう。 ちなみにミラクルは芸達者なので、ティガのスカイタイプと異なり出番はかなり多い。
レッドのストロングタイプは格闘戦向きの強力なタイプ。多少動きは鈍いが己の肉体を武器とする力の戦士。 必殺技はガルネイトボンバー。パワーで敵を粉砕する技だ。光線技はめったに使わない。
隊員たちはガッツアーマーという制服を着用し、スーパーガッツメットを装着する。 ガッツブラスターという銃を装備し、通信機兼コンピュータとしてW.I.T.(ウィット)を携帯する。
陸上での移動には、主にパトロール用に使用する車両がゼレット。ゼラリアン砲を装備している。 また、4WDでバウンティ砲を装備したボッパーもある。
戦闘機としてはガッツイーグルを使用する。これはα号、β号、γ号の三機が合体したもので、自在に合体・分離して多彩な作戦行動を取ることが出来る。 ネオマキシマエンジンを装備しており、宇宙ではマッハ50で航行できる。 最大の武器はトルネードサンダー。並みの怪獣など一撃で粉砕する。
α号は高速・高機動タイプ。主にアスカが乗るため、よく墜落する。(笑) 第33話で、更に強化されたアルファスペリオルが登場する。なんとその姿は科特隊のビートルそっくり。
β号にはこれといった特徴はなく、主にコウダやヒビキが乗る。 γ号は武装が充実しており、主にリョウが乗る。
他にコネリー07があるが、これは戦闘用ではなく特殊捜索救助艇。 また、時々懐かしのガッツウィング1号(のマイナーチェンジ版)が登場したりする。 特に第39話で初登場した警務局直属のブラックバスター隊が駆るガッツシャドーは、ステルス機能を持った高性能機だ。
第6話から登場したクラーコフNF−3000は移動式要塞。戦闘・研究・調査など様々な目的に使用でき、陸海空から宇宙までどこにでも行ける。 最終決戦では、禁断の最終兵器・ネオマキシマ砲を装備した。 更にその他のライドメカとして、地中用のガッツディグ、水中用のガッツマリンもある。
それ以外には、戦闘とは関係無いがプラズマ百式というものもある。 これは光速に挑むゼロドライブ航法のテスト機であり、かつてアスカの父カズマが乗った機体だ。