母乳育児体験談

ここではおっぱいルームで母乳育児に取り組んでいるお母さん達の体験談を掲載します。

目次

はしかと予防接種(宇田望)

 私は、子どもを2人保育園へ預けています。2月に入ってすぐの頃、保育園で貼り出しがありました。“麻疹が一人出ました。2月1日に判明 予防接種のまだの方はかかりつけの医師と相談して対応しましょう。”というような内容だったと思います。そして、同じ頃予防接種の項目と感染病の一覧表が貼り出され、済ませた予防接種にはシールを貼り、かかった病気には日付を記入するよう指示がありました。保育園も利用する親も、子どもの病気にはとても神経質になるのです。病気=仕事休むが成り立つので、それが感染病だと長期戦になるからです。ですから、保育園としては極力病気を持ちこませない(流行らせない)よう予防接種を勧めます。

 上の子(4歳2ヶ月)は、突発性発疹、水疱瘡、手足口病、おたふくかぜと2歳8ヶ月までにかかりました。でも、予防接種はポリオを受けただけです。下の子(1歳6ヶ月)は、突発性発疹になっただけで、予防接種はまだ何も受けていません。ですから、麻疹にかかる確率は非常に高いわけで、2人がかかるとなると何日仕事を休まなければならないのか...。大問題です。

 2月の中頃、保育園で2回目の貼り出しがありました。“2人目の麻疹感染者が出ました。2月12日判明...。”最初に発症した子どもは、下の子のクラス(赤ちゃんクラス)で、2人目もまた同じクラスでした。大きい子ども達は、赤ちゃんのクラスとはあまり接触がないことと、大抵の子が予防接種をしており感染を免れたようです。
 2人目の感染者が出て、いよいようちの子達もかかるかもしれないと思っていたある日、予防接種をさせていなかったあるお母さんが、“1人目が出たときすぐ病院につれて行って、グロなんとかっていうやつしたわ。”と言っていました。既に予防接種を受けさせていたあるお母さんは、入園の時に『麻疹はかかると重症になることがあるから予防接種は受けた方がいい』と勧められたそうです。病気になってほしくないけれど、『はしか、風疹、水疱瘡...は子どものときにかかって当たり前、子どものうちにかかっておけば軽くて済むし、終生の免疫ができる』と私自身が言われて育ち、その通り全部かかって現在に至ります。ですから、それらの病気はむしろかかっておくべきだと思っていたので、仕事を休まければならなくなっても予防接種を受けさせる気にはならなかったのです。決して全ての予防接種を拒否しているわけではありません。

 そして、2月25日下の子が昼頃から発熱しました。はしかの始まりです(発疹が出るまで断定できませんが...)。なるほど高熱(39度台)が出ました。後で考えるとその前の日、熱は無いけれど日頃機嫌が良い方のなのにその日は朝から抱っこ抱っことぐずっていました。25日から3日間39度近い熱が出ました。熱の出方は、午前中は比較的低く微熱ぐらいで午後(夕方)から上がるというパターンで、熱の低い間は機嫌も良く食欲もありました。高熱になると、やはり元気がなく抱っこしていると寝ていました。水分だけはしっかり与えなければと思い、起きている間は番茶など飲めるだけ飲ませ、脱水症状が出ないよう気をつけました。幸いよく飲んでくれたのでその心配はありませんでした。
 4日目の朝、37度ぐらいで保育園には連れていける程度(保育園では、37.5度以上あるとアウト)ですが、どうも機嫌がよくありません。それに少し下痢ぎみだったので病院に連れて行きました。おでことお腹にうすく発疹が出ていたのですが、まだ断定できず(突発性発疹?)、翌日になってその発疹は色も濃くなり顔、お腹と広がっていて、ついにはしかの診断がでました。2月29日のことです。発疹が広がり始めると、熱も再び出てきて38度台まで上がりました。ぐずりがひどく常に抱っこをさせられました。その間の手当ては、水分として番茶、梅肉エキス入りの柿茶、食事は消化吸収の良いように玄米クリームやおかゆにしました。食欲が極端に落ちることが無かったので体力の消耗も少なく、発疹から4日目には熱も下がり、発症から11日目には再び保育園に行けるようになりました。結局、病院からもらった薬を使わず、医者に言わせると“軽かった”そうです。

 下の子が発症して10日目の夜、上の子が夕方から熱(38.5度)を出しました。その日は早く休ませて様子をみることにしました。翌朝平熱より高めの37度で、ヤバイなあと思いながらとりあえず登園しました。すると夕方熱が39度出ているから早くお迎えに来るよう保育園から呼び出しです。まずいなあ...。実は5日後に保育園で発表会があり、子ども達はそれに向けてこの何週間ずっと練習してきたのです。特に上の子は劇あそび(ごっこ遊び)が好きで、率先して取組んでいました。下の子が発症したときにこの事態が予想できたので、担任の先生にお話すると、“えっ!予防接種してなかったんですか?そうなったら残念ですね。”との答え。別の先生も、“もっちゃんはアレルギーがあるからしてなかったんやね...。” 発表会に出られなくなるのは残念だというところは同じですが、『予防接種さえしておけば回避できたであろう』という保育園側の認識と『いつかはかかるものだから仕方がない』という私の考えには大きな開きがありました。
 下の子がはしかと診断された時、病院から上の子にガンマグロブリンを勧められました。これは、感染して1,2日なら発症をおさえる効果があるが、4,5日経っていると発症は防げないが症状を軽くすることができることと、何種類(エイズ、肝炎、...)かの検査結果が全て陰性の血液製剤であることを説明されました。血液製剤と言われて連想するのは言うまでもなく“薬害訴訟”です。検査した項目について陰性なだけでどうして安全なものだと思えるでしょう?はしかと診断された時点で既に感染して4、5日経っているので症状を軽減させるためにだけにしかならないのに...。そもそも重症になることがあるというけれど、私も含めてとんでもないことになった人を知りません。状態に応じて正しい手当てをしていれば恐れることはないと信じ、下の子同様上の子も自然の成り行きにゆだねたのです。

 上の子も、発熱してから4日目にお腹に発疹が見られ、はしかと診断されました。予想通り発病したため、残念ながら発表会には出られなくなりました。そのことを子どもに話すと、“おじいさん(役)はほかのお友達がやってくれるわ。”と自分の状況をすんなり受け入れていることに驚きました。“発表会に行きたい。出たい。”と駄々こねされるだろうとなぐさめの言葉をいろいろ考えていたのに、意外な発言に拍子抜けで物足りない気がして、実は練習がつまらなくなっているのかなと思いましたが、保育園で熱が出た日が最後のみせあいっこ(違うクラスのお友達の前ですること)で、先生に“しんどかったら観てていいよ。”と言われたけれど最後までやりきったそうです。そこまでしていれば尚のこと発表会に出れなくて残念に思いましたが、それはあくまでも大人の思いであることに気付かされました。上の子は4歳ですが、子どもなりに自分の状況をちゃんと受けとめ納得していたのです。それは、下の子が発病した経過を理解していたことと、発表会にむけての練習や準備をその都度楽しんで満足していたからではないかと思います。子どもの成長をこんな形でみることができたことは親としてうれしい発見でした。人生には思い通りにならないことが多々あるのですから、これからもそれらを乗り越え強く成長してほしいものです。

 はしかの経過は、下の子と大差なく11日目から保育園に登園することができました。アレルギーのある子は重症化することがあるからと医者から言われていましたが、何の問題も無くこの子も“軽かった”ようです。改めて病気に負けない体作りができていて良かったと思いました。上の子にアレルギーが出て、私達夫婦は『健康な体作り』の重要性に気付かされ、食生活から改善しました。体の基本はまず食事にあるからです。添加物や農薬の使われている食品は食べない。野菜・海藻中心で肉系の食品を摂り過ぎない(和食が主)。同じ物を続けて摂らない。など、こういう食生活をすることで、子どもには良質のおっぱいを与えることができ、おかげでアレルギーも1歳半を過ぎる頃にはかなり落ち着き、強くなりました。こういった食生活に変えてから生まれた下の子が1歳4ヶ月のとき、付き添いで行った病院で、“風邪やインフルエンザが流行ってるのにこの月齢でこんなに元気やったらこの子は強いわ。”と医者から太鼓判を押されました。私にとっては何よりの誉め言葉です。丈夫な体にしておけば、はしかも恐くないのです。『病欠0』を目標に、強い体作りと困難に負けない心(精神)作りが私の子育てのモットーです。

(おっぱい先生からのコメント)

 おっぱいルームでは“予防接種どうしてる?”の毛利子来先生の考えを取り入れています。予防接種とは弱い子どもを守るためのものです。ですから、丈夫に子どもを育てていれば、重病になりやすいと言われている「はしか」も自然にかかって、終生免疫を獲得できるし、そうしてほしいのです。
 今の世の中、子どもの心も身体も、甘やかされすぎていると思いませんか。元来人間は細菌と共生してきたのに、テレビのCMにまどわされ清潔志向にされて、知らないうちに抗菌剤を使わされています。子どもは汚いスリッパをなめながらも元気に育つものなのです。適当に汚いところも体験させなければ、細菌と共生できる力はつきません。鍛えたいものです。
 でもここで注意! 農薬・添加物とは共生してはいけません。高等動物の人間はまだこれらと共生する力は持てていません。身体への取り込みはできるだけ少なくすることが健康への第一歩です。
 丈夫に子どもを育てていれば「はしか」もそんなに重病にはなりません。まず、できるだけ安全な母乳を飲ませてください。粉ミルクのような業者まかせでは安心できません。離乳食も同様です。できるだけ安全な素材を自分で料理していれば、添加物・農薬は減らせます。“母乳育児BOOK”をしっかり読んでください。
 宇田さんは、子どもたちが病気がちで休むことが多くなるとリストラ対象になる職場にいるので、子どもたちが丈夫で病気をしないで育てられたことをとても感謝していると、いつも話しています。私は宇田さんのように職業を持つ人こそ、ゆっくり看病してあげられる休みがとりにくいのですから、育児休暇を1年間きっちりとって、母乳をしっかり与えて、子どもの心もからだも丈夫に育てる努力をすることが大切と、日々実感しています。会社のために全力投球せず、子どもの小さい間は基礎作りに力を注いだ方が結果的に会社に貢献することができます。子どもにタップリ愛情を与えてあげてください。育児って最高に楽しいものですし、母親を成長させてくれます。
 「はしか」を乗り越える子どもを援助できる母親が増えることは、どっしりとした肝っ玉母さんが増えることにつながり、子どもも安定します。
 是非おっぱいルームのこの考え方に興味を持たれ、実践する人が増えるよう期待しています。

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