小さい家小さいお部屋を物理的に大きくするには増築以外にないとお考えですか。
増築する余裕がないところでは上に伸ばすしか方法はありません。
上に伸ばすのは法規の制限もありますし構造上の問題もあります。
そこで最善の方法がロフトの設置です。
しかし、小さいお部屋小さい家ではロフトを設置するのはなかなか難しいことです。
小さいお部屋はロフトを設置する小屋裏が低すぎる
小さいお部屋小さいお家は屋根が小さいです。そのため屋根を支える小屋裏も小さいものとなります。
小屋裏をロフトにする方法ではあまりにも小さいロフトになってしまいます。
通常の方法では軒桁の上に合板を敷き込みロフトの床にしますのでこの例では天井高は80cmもありません。
事実上小さいこのお部屋にこの方法ではロフトの設置は無理です。
小屋裏じゃなくてお部屋に持ってきたらロフトの天井高さの問題は解決
普通の方法のでは天井高が不足しますのでお部屋に天井を持ってこなくてはなりません。
日本人の背丈は概ね180cm以下ですので190cmの天井高さに押さえるとロフトの天井高は140cmの法規いっぱいまで高くすることが出来ます。
しかしながら190cmの天井高さは頭を打つことが無くてもやはり低いものです。
ロフトの天井高を高くするとお部屋の天井が低くなり
お部屋の天井を高くするとロフトの天井高が低くなってしまいます。
この二律背反を解決するためには平面図の検討が必要です。
ロフトの設置場所は天井が低くなっても良いところを選ぶ
ロフトの設置場所は天井高が低くても問題ないところの上にロフトを設置するのが最良です。
天井が低くても良いところの代表例は納戸・押入の類です。
その他にはトイレやお部屋の踏み込み廊下などがあります。
お風呂はバスユニットの大きさがありますのでおのずと制限があります。
小さい家でもロフトを作る策としては
- お部屋にロフトの床を持ってくる
- 天井が低くなっても良い押入納戸廊下踏み込み等に設置する。
小社ロフト付賃貸押入とお部屋の踏み込みの上にロフトを設けた例です。
ロフトはお部屋の方持ち梁で飛び出しています。
梁が当たる場合はどうするか
ロフトを軒桁の上ではなく軒桁の下に設置しようとするとロフト内に梁が出てしまうことがあります。
小屋裏を支えるための梁は1.8m間隔で普通は位置されています。そのためロフトを1.8m以上に作ろうとすると梁がロフトに出てしまいます。梁を移動するか屋根荷重を直接受けている母屋を補強するかしなければなりません。屋根荷重を計算し構造計算を再計算する方法が良いです。
小屋組は過剰設計(過剰設計とは実際に必要な部材より甚だ大きい断面を使っていること)になっていることが多く再計算すると梁が要らずに母屋のみでも充分な場合もあります。
先ほどの例をみると赤線は梁(母屋を受ける材)、緑線は母屋(屋根の垂木を受ける材)です。この例ではロフトを軒桁の下部に設けると赤線の梁がロフトの内に出てきます。梁を移動しなければロフトは梁までにするか、梁をくぐるか跨いでロフトを使うしかありません。
青線の母屋を補強し梁を撤去することにします。
固定荷重
瓦葺き葺き土無し 640N/m2
木造母屋支点間距離4m以下 100N/m2
ロフト天井荷重 300N/m2
曲げ破壊による検討
母屋の最大曲げモーメントは(640+100+300)×3.6×0.9×400/8=168480N・cm
母屋に105×105を用いると断面一次モーメントはZ=10.5×10.5×10.5/6=192cm3
当該母屋の応力度はf=168480/192=877N/cm2
松材を用いるとすると長期許容応力度は28.2×1.1/3=10.34N/mm2=1034N/cm2
よって許容内である。
撓みについての検討
1/300限度に納めるようたわみを計算すると
105×120材で11mmの撓みを生じるので1/318
たわみ限度より
支点間距離4mの場合は母屋は105×120材を用いるのが適切である。
たわみを考えなければよく使う105×105材でも破壊の恐れはありません。
母屋を補強するにはどんな風にすればいいか
上記例では
母屋が105×120の材を使われていなかったら梁を取りのぞくことは出来ません。
こんな場合には母屋を補強して梁を取りのぞく方法もあります。
小社では母屋を補強して梁を取りのぞいた場合もあります。
母屋の補強方法
既存母屋に普通に補強するとロフト内に出っ張ってきて邪魔になります。
屋根勾配を利用して既存母屋を補強しています。既存母屋に梁の半割を接着材とコーチボルトで補強しております。
こんな風に作ってみました。
天井高1900mmで作りました。
先ず天井を取り外します。
ロフトの床を作るために新しい梁を渡しました。
根太を渡して床を張りロフトの天井を張って壁を張りました。