作れ!歌え!不滅の主題歌!!

特撮ヒーローものと切っても切れないのが主題歌だ。誰が何と言ってもそうなのだ。 テレビの前で番組が始まるのをワクワクして待っていた良い子のお友達は、最初に流れる主題歌のリズムに乗って血沸き肉踊らせるのである。 そしてエンディングテーマを聞くにおよび、満足感、もう終わってしまったという残念な気持ち、来週への期待、と複雑な気分に襲われるのである。 ということで今回は主題歌について述べたいと思う。

主題歌というと、特に昭和40年代から50年代にかけては特撮とアニメの間にあまり境界というのは無かった。 同じ人が作曲して同じ人が歌っていて…という感じ。

そりゃあまあ、特撮かアニメかという表現手段が違うだけで、同じようなヒーローものを作っていたのだから無理もない。 変身するかロボットか、などといったことはヒーローの条件として重要な違いではないのだから。

歌っている人は、ささきいさお、水木一郎、堀江美都子、子門真人といった面々。 おっと、ボーカルを支えるコーラスの、コロムビアゆりかご会、こおろぎ'73なども忘れてはならない。

思い出すだろう、子門真人が高らかに歌う「およげ!たいやきくん」を! …っておいおい。ここは特撮ネタのページだってばさ。 子門真人なら、まず「レッツゴー!!ライダーキック」。 え?「仮面ライダー」にそんな歌があるのかって? やだなあ。例の「せまるぅぅぅ、ショッカァァァァ」ってやつだよお。 「仮面ライダーのうた」ってものあるんだけど、これはエンディングの方。 これでまたひとつ賢くなったね。お友達に自慢しよう。馬鹿にされても知らんけど。

ちなみに「仮面ライダー」の初期の頃は本郷猛こと藤岡弘が自ら歌う主題歌が流れていた。 ファンならぜひ聴くべし。

でもこんな風にいちいち挙げていくときりがないのでやめ。簡単にざっと言っておくだけにとどめる。

まず子門真人は藤浩一という名前でも歌っていたりするんだけど、あまりにも個性的な歌い方なので意外と歌っている主題歌の数は少ないようだ。 有名どころでは「アマゾンライダーここにあり」とか「キカイダー01」とか「ファイヤーマン」とかくらいかな。 おっと、そう言えば子門真人関連の謎がひとつ。 「仮面ライダーストロンガー」のエンディング、「きょうもたたかうストロンガー」は水木一郎&堀江美都子の黄金デュエットなんだけど、なぜか放送初期の頃は子門真人&堀江美都子のデュエットだった。 クレジットにはちゃんと水木一郎と書いてあったのに。 あの子門真人の声と堀江美都子のデュエットは思いっきり違和感があって、はっきり言って子門真人の方が思いっきり浮いてた。 うーん、謎だ。

実はささきいさおの方が子門真人より歌っているのは少ないかもしれない。最近の資料がないのでよくわからないけど。 この人は「秘密戦隊ゴレンジャー」の「戦え!ゴレンジャー」での堀江美都子とのデュエットが有名かな。

では残る人は? さすがに男の子向けのヒーローもので堀江美都子が一人で主題歌を歌うということはなかったが、ささきいさおや水木一郎とデュエットしたりしている。 少女向けアニメなんかでは堀江美都子のソロがよく聴ける。 もちろん、水木一郎がソロで主題歌を歌うことは数知れず。この人が一番多いかな? 以上、この4人でこの頃のヒーロー関係の特撮/アニメの主題歌の9割くらいを歌っていたのではなかろうか。

じゃあ作詞は誰がやっていたか? 東映ものならもう大抵、八手三郎か石森章太郎のどちらかだ。 と、実は八手三郎というのは個人名じゃなくて、東映スタッフ陣のペンネーム。 こういう個人名じゃないペンネームは他にもあるようだ。詳しくは知らないけど。 片や石森章太郎は、自分が原作の作品なら大抵なんらかの歌詞を書いている。

一方円谷ものなら、東 京一の名を外すわけにはいかない。 これは円谷一のペンネーム。 「ウルトラマン」から「ウルトラマンA」までの時期の多くの円谷作品の主題歌/挿入歌の歌詞を書いている。

ならば作曲は? 有名どころなら渡辺宙明、菊池俊輔の二人で決まり! 「人造人間キカイダー」を皮切りに、数々の名曲を生み出した渡辺宙明。 アニメでは「マジンガーZ」などでもおなじみだ。 そして、「仮面ライダー」シリーズの多くを手がけた菊池俊輔。 アニメでは「ゲッターロボ」なんかが有名かな。

もちろんそれ以外にも色々な作曲家の人がいる。 とにかくヒーローものの主題歌は体温が90度にまで上がりそうな熱い名曲ばかりなのだ。 では、個別にそういった名曲について述べてみたい。

大空に響け!ヒーローの歌!!

まず、私が特撮主題歌で一番好きなのが「大鉄人17」の「オー!!大鉄人ワンセブン」。
作詞:石森章太郎、作曲:渡辺宙明、歌:水木一郎、こおろぎ'73、ザ・チャープス。
初期のハードなドラマに実にマッチした名曲に水木一郎のボーカルがシブい。もちろん歌詞も秀逸。 一度聴いてみるといい。絶対気に入るから。

もうひとつシブい歌を挙げておこう。「ロボット刑事」のタイトル同名の主題歌。
作詞:八手三郎、作曲:菊池俊輔、歌:水木一郎。
テーマが刑事ものということで、なんとそのまま刑事ドラマの主題歌になりそうな曲になってる。 水木一郎のボーカルもいいし、シブくて素敵! さすがに歌詞の方は結構ヒーローしてるけど。

「イナズマンF」の「フラッシュ!イナズマン」も捨て難い。
作詞:八手三郎、作曲:渡辺宙明、歌:ヒデ夕樹。
「イナズマン」の「戦えイナズマン」もいいんだけど、個人的にはFの方が好み。「戦えイナズマン」の方は
作詞:石森章太郎、作曲:渡辺宙明、歌:子門真人、コロムビアゆりかご会。

主題歌としては「ウルトラマン」シリーズはいまひとつ好きになれないんだけど、「仮面ライダー」シリーズは大好きだ。 一番好きなのは、初期シリーズからは「仮面ライダーX」の「セタップ!仮面ライダーX」。
作詞:石森章太郎、作曲:菊池俊輔、歌:水木一郎。
もちろん、ライダーシリーズの主題歌はいずれ劣らぬ名曲揃いなんだけど。 あと、内容的にはあまり好きじゃないんだけど主題歌は好きなのが「仮面ライダーBLACK RX」。主題歌はタイトルと同名。
作詞:康珍化、作曲:川村栄二、歌:宮内タカユキ。
かっこいいぞ。お薦めだ。

もうひとつ、「帰ってきたウルトラマン」も挙げておきたい。 その主題歌を作曲したのがドラゴンクエストで有名なすぎやまこういち、というのは有名な話だと思うけど、あいにくその話じゃない。 歌じゃなくてBGMの方。 と言えばもう分かる人もいるだろう。例のワンダバである。

作曲:冬木透のBGM群は名曲揃いなんだけど、なんといってもワンダバが最高! 知らない人のために言うと、怪獣攻撃隊MATが怪獣に立ち向かう時にいつも流れるテーマ曲。音楽番号はM3だ。覚えておこう。 怪獣とのハードな激闘、という雰囲気をよく出していて、それに男性コーラスのワンダバダバワンダバダバワンダバダバダン、という声が延々と入る。 これがムチャクチャかっこ良くて、聞いてると血が沸騰しそうになる。 あまりのかっこ良さに、続く「ウルトラマンA」でも超獣攻撃隊TACのテーマ曲にワンダバが取り入れられた。

虚空に消える!? 奇怪な歌!

とまあ、ヒーローものの歌というのはかっこいいものが多いんだけど、中にはかっこよさを追求するあまり(?)、変な歌も存在する。 まず筆頭は「超人バロム1」の「ぼくらのバロム1」。
作詞:八手三郎、作曲:菊池俊輔、歌:水木一郎、コロムビアゆりかご会。
確かにいい歌なんだけど、ヒーローものの歌にありがちな擬音が変。 1番でマッハロッドがブロロローとかいうのはいい。自動車なんだから。 けど2番のジェットボップや、3番のバロムクロスはブロロローとは言わんだろ、おい。 他の擬音も何か変で、とにかく歌の半分が擬音で占められているこの歌、なんかおかしい。 ぜひ聴いてみてほしい。(あ、これ怪獣VOWのネタになってた)

擬音がおかしいと言えば、「ザ・カゲスター」の「輝く太陽カゲスター」もなんか変。
作詞:八手三郎、作曲:渡辺岳夫、歌:水木一郎。
ノリが良くていい歌なんだけど、水木一郎がバロム1よりも思いっきり力を入れてギュッギューンとかギュルッルゥーとか歌ってるのを聴くとなんか笑えてくる。 この歌も素敵な擬音で満載だ。あー、面白い。もう一度聴こうっと。

ものすごい内容の歌詞というのも着目すべし。 「スペクトルマン」の後期エンディング、「ネビュラの星」。
作詞:うしおそうじ、作曲:宮内国郎、歌:ハニーナイツ、みすず児童合唱団。(違うかも)
最初にネビュラがスペクトルマンに「怪獣を殺せ」と命令し、児童合唱団が朗らかな声で「にくい怪獣ぶっ殺せー」と歌っている。 いくらなんでもそう露骨に殺せとか言わなくてもいいだろうに。子供の無邪気な声だけに恐ろしい。 …と、ああこれも怪獣VOWのネタになってた。パクってるつもりはないので。…って言い訳にもならんな。

気を取り直して、もひとつ凄いのが「快傑ズバット」から、その名も「地獄のズバット」。
作詞:石森章太郎、作曲:京建輔、歌:水木一郎。
タイトルからしてものすごいこの歌には、ズバットこと早川健の、友人・飛鳥五郎を殺した犯人に対する復讐の念・怨みの念が込められている。 なんか怨霊でもとり憑いていそうな歌だ。恐いよお。

うーん、テレビ番組じゃないしまた怪獣VOWのパクリになっちゃうんだけど、どうしても外したくないのが映画「ゴジラ対ヘドラ」の「返せ!太陽を」。
あ、作詞作曲とか調べようと思って映画のオープニング見返したら歌について何もクレジット表示がないでやんの。
ひえー、またあの歌とバックに映されるヘドロを見ただけで終わっちまったい!
また当分忘れられなくなるぞ!
…という具合に、元素記号が延々と並べられたその歌詞、一度聴いたら忘れられない。 まるでギルの笛の音を聞くジローのように、頭から離れないその歌詞・メロディーと頭を抱えて戦わなくてはならない。 恐ろしい歌だ。

一度聞くと忘れられない歌をもうひとつ。特撮かどうかは微妙なところなんだけど、実写版「ワイルド7」から「ワイルドセブン」。
作詞:阿久悠、作曲:森田公一、歌:ノンストップ。
この歌によれば、ワイルドセブンの7人には何かありそうだということなんだが、何があるのか全然分からない。 非常に気になって頭から離れない。誰か、何があるのか教えて欲しい。

単なる挿入歌なんだけど、一度聞くとこれも忘れられないのが「仮面ライダー」シリーズの「俺は立花藤兵エだ」。
作詞:田中守、作曲:菊池俊輔、歌:小林昭二、コロムビアゆりかご会。
「わしがライダー後見人、立花藤兵衛である!」
とでも言いたげな自己主張の激しい歌。そりぁー、誰が何と言ってもあんたは立花藤兵衛だろうさ。 おやっさん自らが歌うこの歌、一度聴いてみるといい。

最後にもうひとつ悪夢のような歌を。
作詞・作曲・歌手など今は全然分からないんだけど、子供の頃買ったレコードに入っていた歌。 ゴジラの歌なんだけど、「ゴジラのお嫁さん」という強烈なタイトルの歌。
子供の頃に聴いたっきりなんだけど、今でもメロディーは頭にこびりついているし、なんとなく歌える。 子供心にも変な歌だという強烈な印象が残っているわけだ。
内容は、怪獣をやっつけてあげるから僕のお嫁さんになっておくれとゴジラが女の子たちにお願いするというもの。 ああ、凄い歌だ。いまだにこの歌が記憶から消え去らない。 思い出す度に頭が痛くなるので、東宝になんか責任を取ってほしいくらいである。


追記(1997.08.11)

しかし、単なる記憶だけで悪夢呼ばわりするのは失礼だ。 ひょっとしたらそんな歌は存在しなかったかもしれないじゃないか。 そうだ、子供の頃の記憶だから、変に覚え違いしたに決まってる。 いくらお子様ランチと化した頃のゴジラの歌と言えど、そんな変な歌あるわけないじゃないかー。

ということで、東宝の名誉を守るため実家のレコードをあさってみた。すると…あった!
「ゴジラのお嫁さん」
作詞:もず順平、作曲:加藤邦彦、歌:子門真人。
プレイヤーがあるので早速勇気を出して聞いてみた。 おお!覚えていたメロディーそのまま! しかも、「なんとなく歌える」と言っていた歌詞が、実は完璧に覚えているのだということが分かった。 ああ、なんて恐ろしい。しかもまた聞いてしまったから、後20年は絶対に忘れないに違いない。 うう、頭が痛い。やっぱり東宝さん、責任取ってくれ〜。

で、レコードをあさっていた際に、なぜか「ぐるぐるメダマン」のレコードが出てきた。 あれ?ほとんど見た記憶がない番組なんだけど、なんでレコードなんか持ってるんだろ?

しかしこの番組は、東京12チャンネルなるテレビ局の存在を初めて教えてくれた番組でもある。 大阪育ちの私にとって12チャンネルとは、学校の社会や道徳の時間にしか見る機会のないNHK教育でしかなかったのだ。 東京12チャンネル系で放送と書いてあるのを見て、何チャンネルに合わせればこの番組を見られるんだろうと真剣に悩んだ覚えがある。

そのメダマンの主題歌が、「ぐるぐるメダマンおばけだぞ」。
作詞:八手三郎、作曲:小森昭宏、歌:堀江美都子、ヤングフレッシュ。
あ、そうか。こういうファミリーコメディー系の番組なら、堀江美都子がソロで歌う事もありえるんだ。 こっちの系統は実は疎いんで、よく分からない。ちなみにエンディングテーマが「みんなあつまれ!メダマンおどり」。
作詞:八手三郎、作曲:小森昭宏、歌:堀江美都子、ヤングフレッシュ。
結構ノリのいい歌だ。ちなみに両方とも例によって意味不明の擬音でいっぱいだが、水木一郎が歌えば笑える擬音の固まりも堀江美都子が歌うとただの可愛い歌にしかならない。 うーむ、女性って得だな。

ちなみに、こういうファミリー系の大御所の「がんばれ!ロボコン」の主題歌「がんばれロボコン」はと言うと
作詞:石森章太郎、作曲:菊池俊輔、歌:水木一郎、山上満智子。
んー、堀江美都子じゃないね。

それとお詫び。子門真人が歌う主題歌は意外と少ないと書いたけど、実は意外と多い。 ちょっとだけ調べてみたら水木一郎ばかりウジャウジャ出てきて、子門真人があまり出てこなかったから少ないと書いた次第。 全くいいかげんなこと書いて申し訳ない。 実は、円谷系に意外と多いのだ。 円谷系の歌と言えば、「ウルトラマンの歌」に代表されるようなコーラス系のものがほとんどだと思っていたので全然調べてなかった。

お詫びにそれらの歌を列挙すると、
「レッドマン」
作詞:藤公之助、作曲:山下毅夫、歌:子門真人
「ファイヤーマン」
作詞:阿久悠、作曲:小林亜星、歌:子門真人
「猿の軍団」
作詞:たかたかし、作曲:津島利章、歌:子門真人
てなところ。 また、谷あきらという名前で歌っていることもあって、それは
「トリプルファイターの歌」
作詞:東 京一、作曲:円谷のぼる、歌:谷あきら、杉並児童合唱団、コール・フェニックス
「ジャンボーグA」
作詞:清瀬かずほ、作曲:菊池俊輔、歌:谷あきら、荒川少年少女合唱隊
てなところ。特に「ファイヤーマン」や「ジャンボーグA」なんかがお薦めだ。 あの歌いっぷりが単純にかっこいい。

また、「猿の軍団」も薦めておきたい。 この番組を知らない人ならタイトルだけで笑えるかもね。 で、初めて聴いた時は、あの歌いっぷりのせいでなんとなく笑える。 何回も聴いてたら曲がシブくていいので気に入っちまったけど。

ついでに「ジャンボーグA」の挿入歌、「戦え!ジャンボーグ9」も薦めておこうか。
作詞:清瀬かずほ、作曲:菊池俊輔、歌:谷あきら。
あの特有のシャウトがある種の極限に達している。君はこの歌を歌っている子門真人の前に立つ勇気があるか?


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