防音にはコインシデンス効果による落ち込みを防止するため分厚くて重いものと薄くて硬いものを同時に用いることが必要です。薄くて硬いものとして用いるのが吉野石膏のスーパーハードです。
その名の通り薄いにもかかわらず相当硬いもので通常石膏ボードのように片面だけ傷つけて折ることはできません。
石膏ボードのスーパーハードの切断
石膏ボードの切断する方法は次のふたつの方法があります。
小社では石膏ボードの切断はナイフで行っております。後述するチップソーによる切断では電動ノコギリと吸塵器が必要です。狭い防音室ではナイフの方が使い易く隣室に騒音の迷惑をかけないために使っています。
グラスウール繊維で補強されたスーパーハードを切断するのは普通石膏ボードより大変です。
切断箇所を鉛筆で書き定規を当ててナイフで切れ目を入れる。
スーパーハードは硬いのでできれば何回もナイフで切れ目を入れて下さい。
ナイフを当てて引くときにほんの少しだけ石膏の飛沫が上がるときは切れている証拠です。
ナイフの摩耗が早いので折って新しいナイフ面を使って下さい。
裏も切るために横に切れ目を回す。
横に回した切れ目に合わせて定規を当ててナイフで切れ目を入れる。
裏にも切れ目を入れたところ。
切れ目に角を当てて折る
残りが大きいときには手で折れますが狭くなると手ではできません。
足に体重をかけて折って下さい。
もっと短くなったらペンチを使って折って下さい。
もっともっと短い場合はナイフで削り取って下さい。
スーパーハードの切断した後
ナイフで切断したスーパーハードの断面
張りました。商品名が書いてある方が裏側です。
表の紙と裏の紙は違う紙が使われていて表の方が丈夫なものです。
少しだけナイフで切断する場合
少しだけ切断するときはノコギリで切断するのが最善です。
少しだけでは折れないからです。
もしナイフでするならプライヤーかペンチを使って折ります。
ナイフで切れ目を両側入れる
プライヤーで折る
プライヤー折った断面は綺麗ではありません。ナイフで滑らかにする。
ノコギリで切断する場合はチップソーの丸鋸(電動ノコギリ)を使用します。石膏の飛沫が舞い散りますので集塵器付き丸鋸を用います。それだけではまだまだ埃が出ますので外付けの集塵機を取り付けるのが普通です。
もちろん手鋸でも切断できます。
小社でも矩の字型に切り抜くときは手鋸を用いております。
ノコギリでの切断面
石膏ボードのスーパーハードを矩の字型に切り取り場合
普通の石膏ボードを矩の字型に切りとる場合は小社ではナイフで片面をすべて切断しています。
しかしスーパーハードは硬いのでナイフでは傷を付ける程度しかできません。
そのために小社では片方だけノコギリで切断しています。
印を書きます。
片方をノコギリで切断します。
もう片方ではナイフで切れ目を入れて折ります。
石膏ボードは焼石膏に水を混ぜ空気を含ませてそれを紙に挟んで硬化させたものです。
均等に同じ厚みするためにローラーで挟んだりして相当な技術がいるそうです。
接着材を使わなくても固まった石膏に紙は、張り付いてしまいます。
石膏ボードに使う紙は特殊なもので耐水性のあるものを用いています。
焼石膏を普通に水を混ぜて固めると石膏の比重 2.2 (
比重)になります。
普通石膏ボードの比重(厚9.5mm)は 紙を含む見かけ比重 0.695
(吉野石膏)ですので60パーセントの空気を含んでいます。そのため普通の石膏ボードならナイフで切断することも可能なのです。
実際目視でも泡が確認できます。
それに対して硬質石膏ボード(スーパーハード 厚9.5mm)は 紙を含む見かけ比重 1.22ですから空気含量は低いしその上グラスファイバーが入っていますので割れにくく硬いものになっています。
写真はスーパーハードを割ったときのマクロ写真です。
繊維が見えます。手で触ると毛羽だった毛布を撫でているようです。
スーパーハードは吉野石膏の商品名です。登録商標ではないようです。